残業時間の端数処理ルールを簡単解説|残業時間の切り捨ては違法

残業代を計算するときの、時間外労働時間と手当額の端数処理についてまとめます。

残業時間を切り捨ててはいけない

労働時間は1分単位で計算するのが原則です。
労働時間の端数処理は原則として認められていません。

たとえば、「15分単位で勤怠管理をしているから、14分未満は残業代が出ない」というように15分単位で切り捨てるのは違法であり、未払い残業代が発生していることとなります。

労働基準法では「賃金はその全額を支払わなければならない」と規定されています。つまり、厳密には働いた分は1秒単位でも支払わなければならないということになります。

1か月単位では残業時間の端数処理が認められる

労働時間の端数処理は原則認められませんが、実は例外的に端数処理が認められる場面があります。

それは、「1か月単位で、1時間未満の端数がある場合の端数処理をすることです。

1か月の残業時間を毎日1分単位で集計した合計時間数に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上は1時間に切り上げることが許容されています。

たとえば、その月の残業時間が6時間20分だったときに、20分(30分未満の端数)を切り捨てて、残業時間を6時間として残業代を計算することは認められます◎

残業時間が6時間40分だったときに、40分(30分以上の端数)を切り上げて、残業時間を7時間として残業代を計算してもOKです◎

尚、必ずしも端数処理をしなければならないわけではないので、6時間20分または6時間40分を分単位までキッチリ残業代を計算してももちろんOKです。

※端数処理が認められるのはあくまで1か月単位の時間の端数処理であり、1日単位で端数処理を行うことは四捨五入であったとしても認められません。

残業代の端数処理ルール

割増賃金(残業手当)計算時の端数処理について、労働基準法で認められている端数処理方法は以下の通りです。

  1. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業おのおのの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨てて、それ以上を1時間に切り上げること
  2. 1時間あたりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
  3. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業のおのおのの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に②と同様に処理すること

これらは、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便と認められるという理由で、労働基準法違反とはなりません。

残業代未払いの罰則

残業時間や残業手当を切り捨て、未払い賃金が発生した場合、以下の法律違反となります。

  • 労働基準法第24条(賃金全額払いの原則)
  • 労働基準法第37条(時間外・休日・深夜労働の割増賃金支払義務)

違反した場合の罰則は以下の通りです。

  • 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(第37条違反)
  • 30万円以下の罰金(第24条違反)

時間外労働(残業)についてもっと知りたい

時間外労働の基礎知識や、残業代については下記の記事でも詳しく解説しています。

 

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