タイムカードの打刻タイミングと残業代(時間外手当)の関係|出勤簿管理

大企業は2019年から、中小企業は2020年から残業時間の上限規制が強化されました。

長時間労働や残業代未払い等に対する規制や取り締まりが厳しくなってきています。
このタイミングで労働時間の管理方法について見直してみましょう。

この記事では、タイムカードの打刻時間と実際の労働時間とのズレ、出勤簿での労働時間管理で気を付けるべきことについてまとめます。

出勤簿とは

そもそも出勤簿とは何なのか、確認しておきましょう。

出勤簿は、法定三帳簿の一つで、労働基準法によって適正に管理することが義務付けられています。
出勤簿の書式については決まりがありませんが、記載すべき項目は定められています。
保存期間は3年です。(最後に出勤簿が記入された日付から起算して3年)

CHECK

法定三帳簿とは:労働者名簿・賃金台帳・出勤簿のことです。

タイムカードと出勤簿

出退勤時刻の記録のためにタイムカードを利用している会社もあると思いますが、打刻時間=労働時間とならない場合が多く、タイムカードだけで出勤簿に代えることはできないことがほとんどです。

例えば、8時始業の会社で勤務している場合、8時ちょうどより数分前にタイムカードを打刻しますよね。
8時ピッタリに打刻してその瞬間から仕事を始めるという人は少数だと思います。

タイムカードを打刻した後に、トイレに行ったり同僚と談笑したり、それで8時を過ぎてから仕事を始める場合、タイムカードの打刻時間と、実際の労働時間にズレが生じてしまいます。

終業時も同様に、業務を終えてから打刻するまでの間、数分間あいてしまうことってありますよね?
たとえば、トイレに行ったり、同僚とおしゃべりをしたり、私用のメールや電話をチェックしたり、自分が使ったグラスを洗ったり・・・。それは残業ではないですよね。

時間外手当は1分単位で支払われなければならない

本来、法に則った正しい労働管理では、所定労働時間を1分でも過ぎれば残業手当(時間外手当)が支払われます。
しかし実際は、タイムカードなどで打刻された時間と、実際の労働時間(始業時間・終業時間)には数分のズレが生じます。

CHECK

労働基準法上の「労働時間」とは:「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。制服や作業着に着替えるための時間や朝礼なども、それが必須であり義務付けられている場合は、労働時間に含まれます。(家から制服着用の上で出社する場合は例外)

例えば17時が定時の会社で働いていて、打刻するのが17:02になったからと言って、2分の残業代を支払うというのは実務上あまりないと思います。
そもそも、その2分間は残業していたのではなく、単に打刻するタイミングが少しずれただけというのが実情だと思います。

しかし、このような場合でも仮に未払い残業代に関して裁判になった場合は、「タイムカードの時間=実労働時間」と認定され、タイムカードの打刻時間に合わせて残業代の支払を命じられることになります。

労働基準監督署の調査で、出勤簿の記載時間と、入退室記録やPC使用ログ等の時間に差異があり、多額の未払い残業代が請求された事案が実際にあります。

ここで確認しておきたいのが、本来タイムカードは出勤簿の代わりにはならないということ。
タイムカードを出勤簿とするためには、業務日報等の資料と合わせて、実際の労働時間とズレがないことが確かめられる必要があります。
ICカードやパソコンの利用時間などの記録と合わせて確認することも必要かもしれません。

打刻のタイミングは適正か?

一般的にタイムカードに記録される出退勤時間は、実際の労働時間と一致しない場合が多いので、先述の通り、タイムカードに記録されている時間が出退勤時間の場合には、別途、労働時間が確認できる記録を用意しておくことが必要です。

尚、仕事を始める瞬間(8時ちょうど)に打刻をし、仕事が終わる瞬間(17時ちょうど)に毎日打刻できる場合等は、打刻時間=労働時間としても良いと思います。ただし、その場合、打刻時間は労働時間とイコールであるということをしっかりと定め、周知しておくことが必要になると思います。
打刻時間と実際の労働時間が違うというような事態も避けなければなりません。(例えば、8時ちょうどと17時ちょうどに打刻をするが、少しの時間残って作業をする(いわゆるサービス残業)等が行われないように注意が必要です。)

打刻時間=勤務時間? 打刻時間=出退勤時間?

残業ではない単なる打刻時間のズレの数分間を時間外手当の対象としないために、残業時間を「10分単位」や「15分単位」で丸める(丸め時間)会社も多いと思いますが、厳密にはこの方法は労働基準法上では問題があります。(実務上、多くの会社で実施されているとは思いますが…。)

本来は、1分単位で労働時間を記録し、1分単位で残業代(時間外手当)が支払われなくてはなりません。

ですので、タイムカードの打刻や、出勤簿に記録される時間について、決まりを設けておくことが必要です。
打刻時間=勤務時間なのか?打刻時間=出退勤時間なのか?
そこを社内でハッキリとさせておき、適切なタイミングで打刻をするようにすることが大切です。

労働時間管理で気を付けるポイント

出勤簿やタイムカードの打刻時間、労働時間の管理の上でのポイントや、気を付けることをまとめます。

残業ルールを設け、徹底する
「残業や早出をする場合は、申告書を提出しなければならない」「時間外労働をするためには上司の許可が必要」「会社が時間外労働を命じる場合は指示書を出す」など、時間外労働に関するルールを整備し、ルールに基づいた時間外労働の届出がない場合、残業とは認められないこと明確にしておくことが大切です。
打刻時間だけで労働時間管理を行わない
タイムカードだけで労働時間管理をしている場合、タイムカードに打刻された時刻が退社時刻なのか終業時刻なのかが曖昧になってしまうので、タイムカードは「職場への入退場の記録」とし、実際の労働時間に関しては別途管理簿を設けたり、タイムカードと合わせて他の資料(パソコンの使用履歴や作業日報など)を用いて、はっきりとした実労働時間を記録しておくことが必要です。
出勤簿の打刻タイミングのルールを明確にし、周知する
従業員の中で人それぞれ打刻のタイミングが違うのではなく、たとえば、業務開始時の「8:00」と業務終了の「17:00」に打刻をするなど、打刻のタイミングを社内で統一しておくことも必要です。
※もちろん、打刻~打刻までの間だけ仕事をします。終業の打刻をしたあとに作業(サービス残業)をしたり、させたりするのは絶対にだめです。

打刻は正確に

タイムカードの不正打刻は就業規則上の懲戒解雇の理由になり得ます。
わざと打刻時間を遅らせて残業代をもらうのは不正請求であり、賃金の詐欺行為と言えます。

残業した従業員に対して時間外手当を支払わないことも違法です。

出勤簿と労働時間の管理については、雇用側と従業員の双方で気を付けなければなりませんね。

 

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