わかりやすい図で解説!国民健康保険と健康保険の違い

体調が悪い時やケガをしたときに病院に行くと必ず提示を求められる保険証。
この保険証、正式名称は健康保険被保険者証といって、健康保険に加入している証明書です。

健康保険にはいくつもの種類があって、全員が同じ健康保険に加入しているわけではないということをご存知ですか?
もちろん、保険証の形態もバラバラです。

健康保険の中でも代表的なものに「国民健康保険(国保)」と「社会保険(社保)※健康保険」があります。

この記事では、国保と社保の違いについて、なるべくわかりやすく伝えられるよう図を用いてまとめています。

公的医療保険

日本では、国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)のもとで 日本国民全員が公的医療保険に加入しなければならないことになっています。

公的医療保険とは
公的医療保険とは、加入者やその家族が病気やけが、出産などで医療が必要なときに、医療給付や手当金を支給することで生活を安定させるための仕組みです。
加入者全体で助け合う相互扶助の制度となっています。

公的医療保険の種類

公的医療保険には、大きく5種類あります。

  • 健康保険(全国健康保険協会(協会けんぽ)、各種健康保険組合)
    企業の従業者(会社員)や日雇労働者などが加入
  • 共済組合(各種共済組合)
    国家公務員・地方公務員や私学教職員などが加入
  • 船員保険(全国健康保険協会)
    船舶の船員など
  • 国民健康保険(市町村、各種国民健康保険組合)
    自営業者や農業従事者、無職、フリーターなど(健康保険やその他の公的医療保険に加入していない人が加入)
  • 後期高齢者医療制度
    75歳以上の人および65歳~74歳で一定の障害の状態にある人が加入

※この記事では、公的医療保険の中でも代表的な保険である健康保険と国民健康保険についてのみ解説していきます。

社会保険(健康保険)とは

そもそも、社会保険とは?

広義での社会保険は、「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険料」「国民年金保険料」などすべてを含めたものとなりますが、よく言う「社保」や「社会保険完備」というのは、「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」の4つの社会保険すべてに加入できることを意味しています。

そして、一般的に保険証に関わることで「国保と社保」というように比較されるときの社保とは、「健康保険」のことを指しています。

このように、健康保険のことを「社会保険」と言ったりもしますが、非常にややこしいですよね。

「国民健康保険」と比較されるのは、社会保険の中の「健康保険」になりますので、この記事では以後「健康保険」と表現していきます。

健康保険とは

健康保険とは
健康保険は、企業に勤めている会社員や契約社員、パート従業員などが加入する公的医療保険です。

正社員はもちろんのこと、契約社員やパート従業員なども一定の条件を満たすことで加入対象となります。加入対象者になった場合は、加入を拒むことはできません。企業側が加入させないということもできない決まりになっています。

健康保険は2種類にわかれる

健康保険の中でも2種類に分かれていて、その違いは健康保険事業の運営主体(保険者)です。

健康保険組合(組合健保) 主に大企業などが独自・もしくは複数社が共同で設立している健康保険組合。単独の場合は常時700人以上の社員がいること、共同設立の場合は合算して常時3000人以上の社員がいることが、健康保険組合設立の条件となる。
全国健康保険協会(協会けんぽ) 主に中小企業で働く人(会社独自の健康保険組合がない企業に勤務している人)が加入する。

国民健康保険とは

国民健康保険とは
国民健康保険は、地方自治体が運営している健康保険で、自営業者や農業従事者、個人経営の会社に勤めている人、無職の人など、企業や団体に属しておらず、健康保険(社会保険)や共済保険の対象にならない人が加入する公的医療保険です。

平成30年度から国民健康保険の財政運営の責任主体が市町村から都道府県に変わりました。都道府県が市町村とともに国民健康保険の運営を担っています。

国民健康保険と健康保険の違いを比較図で見てみよう

国民健康保険と、社会保険の健康保険の違いを比較して、図でまとめてみました。

医療費の自己負担額が原則3割負担であることや、高額療養費制度があるという基本的なことはどちらも変わりませんが、こうして表にしてみるとそれぞれの保険の違いが明確にわかります。

項目 国民健康保険 健康保険(社会保険)
加入者 個人事業主や農業従事者、個人経営者のもとで働く人、無職の人など、他の健康保険に加入していない人 企業勤めの会社員(正社員、契約社員、パート従業員など)
運営者 市区町村・都道府県、各種国民健康保険組合 協会けんぽ、各健康保険組合
保険料負担 全額自己負担 半額のみ負担(会社と折半)
保険料の決まり方(算出方法) 前年度の所得と世帯の人数によって決定(自治体が計算)
※保険料は自治体によって異なる
標準報酬月額と保険料率をもとに決定(会社が計算)
※料率は都道府県や保険組合等によって異なる
保険料の支払い方 自分で納付 給与天引き
扶養制度 なし(加入人数分だけ保険料が発生する) あり(被扶養者の保険料はかからない。ただし扶養になるためには要件あり)
医療費 原則3割負担 原則3割負担
高額療養費制度 あり
年収(総所得金額)をもとに計算
あり
標準報酬月額をもとに計算
出産手当金 なし あり(標準報酬月額の3分の2が支給)
出産育児一時金 あり(42万円) あり(42万円)
産休中の保険料免除制度 なし 免除される
育休中の保険料免除制度 なし 免除される
傷病手当金 なし あり
その他備考 ・保険料の軽減制度あり ・任意継続制度あり(退職後2年間)

国民健康保険と健康保険(社保)の比較ポイント

国保と健康保険(社保)では、保険料の算出方法が全く違う

健康保険では個人ごとに標準報酬月額と保険料率をもとにして保険料が決まります。都道府県によって所得水準や医療費に差があるため、都道府県間で保険料の調整が行われています。

保険料は給料から天引きされ、会社が全従業員分をまとめて納付してくれています。

国民健康保険では世帯ごとに加入者の数や年齢、収入(前年度の所得)などをもとに保険料が決まります。均等割と所得割という2つで構成されています。
被保険者数や所得差などにより、各自治体ごとに保険料率が異なります。
収入が一定以下の人に対する保険料の軽減・減免制度が用意されています。

国民健康保険料の納め方については、自治体から納付書が発行され、自分で納付します。

健康保険(社保)は、保険料の半額を企業が負担してくれる

国民健康保険は全額を自己負担で納付しなければなりませんが、健康保険(社保)の場合は勤務先の企業と折半で保険料を納めるので、会社が半額負担してくれます。=社会保険の方が自己負担額が少なくてお得と言えます。

国民健康保険には、扶養制度がない

社会保険の健康保険と国民健康保険の大きな違いとして、扶養の有無があります。

乳幼児や就学期の子どもや、無職の妻や親がいる場合、健康保険であればこれらの親族を扶養に入れることができ、被扶養者が何人いても保険者の保険料は変わりません。被扶養者がいても一人分の健康保険料を支払うだけで良いのです。

しかし国民健康保険の場合は扶養という概念がないので、収入のない家族がいる場合でも、ひとりひとりに健康保険料が発生します。ですので、加入人数分の保険料を支払わなくてはなりません。

健康保険は、働けなくなったときに傷病手当金が支給される

傷病手当金は、業務外での病気やケガなどで4日以上働けなくなり給与が支払われない場合に、1年半を上限に標準報酬月額の3分の2が、4日目から支給されるというものです。(※支給には要件があります)

この制度は健康保険にはありますが、国民健康保険にはありません。

健康保険は、出産手当金の給付がある

出産手当金は、産前産後の98日間(出産前42日と出産後56日の間)、出産のため仕事を休み給与の支払いがない場合に、標準報酬月額の3分の2が支給される制度です。

この制度は健康保険にはありますが、国民健康保険にはありません。

出産手当金の額の計算方法

支給日額=支払開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2
※支給開始日とは:一番最初に給付が支給された日のこと

こうして計算式を文字にするとすごくわかりづらいですが、おおよその支給日額は、産休に入る前の平均給与日額の3分の2と思っておけば良いと思います。

出産育児一時金は、国保でも健保でもどちらでももらえる

出産育児一時金は、国保・健康保険のどちらに加入していても同じ額が受給できます。
出産育児一時金は、妊娠4か月(85日)以上の方が出産したときに支給される一時金です。
金額は一児につき42万円、産科医療補償制度に未加入の医療機関での出産の場合は40.4万円です。
双子や三つ子など多胎児を出産したときは、胎児の人数分だけ支給されます。

健康保険は、業務上の病気やケガには利用できない

健康保険(社会保険)に加入している人が通勤中や業務が原因で発生したけが、病気については、労災保険で対応することになるため、健康保険(保険証)を使って受診することができません。

ちなみに、労災保険も社会保険の中のひとつです。労災保険は、会社勤めの方は必ず加入しています。なぜなら、事業主が一人でも従業員を雇った場合には、必ず労災保険に加入しなければならないと定められているからです。
労災保険の保険料は、
全額を事業主(会社)が負担しています。労働災害によってかかる医療費も、従業員が負担することはありません。

健康保険には、任意継続制度がある

任意継続とは、会社を辞めた人が、退職後も2年間を限度としてそのまま健康保険に加入し続けることができる制度です。
健康保険には、扶養制度などの国民健康保険にはないメリットがあるため、国民健康保険に加入するよりも、そのまま継続したほうが健康保険料を抑えられる場合があります。ただし注意しなければならないのが、任意継続の場合は、保険料を全額自己負担しなければなりません。在職中は保険料の半額を会社が負担してくれているので、保険負担は単純計算で2倍になります。その辺も考えて、健康保険の任意継続をするか、国民健康保険へ切り替えるかを判断することになります。

国民健康保険と健康保険(社会保険)、どっちがお得?

国保と健康保険 どちらが得かといえば、答えは断然、健康保険(社会保険)と答える人が多いと思います。

保険料の半額を会社が負担してくれること、扶養家族の分の保険料がかからないことから、健康保険の方が金銭負担が軽くなるからです。

しかし実際は、家族構成や年収等にもよるので一概にどちらが得とは言いきれないと思いますが、多くの場合、健康保険の方がお得と考える人が多いです。

さらに健康保険の中でも、健康保険組合の一部では、健康保険組合独自の給付(付加給付)があったり、高額療養費制度の支払限度額が法定給付よりも低く設定されていたり(医療費の自己負担額が少なくて済む)、健康管理に関する福利厚生サービスがあったりと、さらにお得な場合もあります。

けがや病気によって働けなくなったときに給付される傷病手当金や、出産のために休業する期間に給付される出産手当金があったり、産休・育休中は保険料が免除されることも、健康保険加入のメリットです。
これらは収入面での不安をカバーしてくれる心強い制度ですが、国民健康保険にはありません。
このことから、健康保険の方が 働けなくなって収入がなくなっても安心できると言えます。

国民健康保険の場合は、病気で働けなくなった場合や、失業したり災害に遭ったりして国民健康保険の保険料が払えないときには、住んでいる市区町村に相談することで保険料の軽減・減額・減免・免除が受けられる制度があります。

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