


国税庁が無償提供している、年末調整の電子化に合わせたアプリ「年調ソフト」を使ってみた結果・感じたメリットデメリットを個人的な感想を交えてまとめます。
<2025年10月30日追記>
令和7年分の年末調整に対応した最新版も利用してみました。
「かんたん検算」機能等が追加されていますが、基本的な操作や使用感は変わっていませんでした。
目次
年調ソフトとは、国税庁から提供されている、従業員が年末調整申告書を作成するためのソフトウェア(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)」のことです。
従業員が勤務先に提出する各種控除申告書をデータで作成することができ、データでの提出の他、紙に印刷することも可能です。
パソコン版とスマホ版(アンドロイド、iPhone)があり、誰でもダウンロードして使うことができます。

さっそく年調ソフトをダウンロード・インストールして使ってみました。
年調ソフトの入手方法は、国税庁のホームページからダウンロードする方法と、Microsoft Store・Google Play・AppStoreなどの公式アプリストアからダウンロードする方法があります。
PC版は、ダウンロード前にWindows設定画面から開発者向けメニューの設定を行い、証明書のインポートウィザードの設定変更等も必要で、その後ようやくインストールとなります。
国税庁HPにある操作マニュアル(インストール手順)を見ながら操作しなければ難しいかもしれません。
[体験談] 最初にパソコン版をインストール後、アプリを起動したら表示が崩れていて操作ができなかったので、アンインストールしました。
アプリをダウンロードする前にも、コントロールパネルを開いて操作が必要なので、マニュアルを見ながら進めなければならず、パソコン操作に不慣れな方には少し難しいかもしれません。
Google PlayやAppStoreからアプリをダウンロードできます。
筆者は、国税庁HPからQRコードを読み取ってインストールしました。
[体験談] スマホ版は特別な操作なく簡単・スムーズにインストールできました!

筆者が年調ソフト(スマホ版)で実際に申告書の作成をしてみた感想を交えながら、年調ソフトの特徴やポイントについてまとめていきます。
申告書の作成手順に関しては、画面に表示された通りに該当項目を入力していくだけなので、簡単です。
あれこれ考えなくても、特別な知識がなくても、入力を進めていくことができると思います。
[体験談] 筆者の場合、インストール・初期設定から、各項目の入力(扶養控除申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書)、作成完了までの作業時間は約30分でした!
自分がどの申告書を作成すれば良いかわからない場合は、いくつかの質問に答えることで「受けられる控除(作成すべき申告書の種類)」を判定することができます。
配偶者控除を受けられるか、所得金額調整控除を受けられるか等を自動判定してくれるので、自分で判断する必要がなく、年末調整に関する知識に乏しい人でも楽に進められます。
不必要な項目の入力を省くことができるのもメリットです。
保険会社から保険料控除証明書を電子データで受け取っている場合は「インポート」を選択すると簡単にインポートすることができます。
書面で受け取っている場合は「インポートしない」を選択して手入力することができます。
・証明書の電子データをインポートしない場合は、保険の情報を自分で入力しなければならないのが残念なポイント。AIが読み取って自動入力してくれる機能はありません。(会計ソフト等を提供している民間企業提供のシステムだと、スマホのカメラで証明書を撮影するだけで自動で項目を読み取って入力してくれる機能があるものもあります。)
・保険の区分(「一般の生命保険料」かや「新・旧の区分」など)も自分で判断して自分で入力しなければなりません。
どちらの場合でも控除額は自動計算されるので、手間が減り計算ミスの心配はありません。
作成した申告書は、「電子データで出力する」か「書面印刷」のどちらかの方法で出力し、提出することができます。
年末調整申告書をデータで勤務先に提出する場合、XML 形式のデータを ZIPファイルに格納した状態で出力されます。
ZIPファイルは解凍せずにそのまま提出します。
年末調整申告書を書面で勤務先に提出する場合は、印刷プレビューを確認後、紙に印刷したものを提出します。
ちなみに、紙への印刷と併せて、必要に応じて電子データ(XML形式)も出力することができます。これは翌年以降の年調ソフトへのインポート用データとして利用でき、翌年以降の入力作業を簡便化することができます。
保険料控除証明書を電子データではなく従来通り書面で受け取っている場合でも、年調ソフトは利用できます。
控除額が自動計算されるので、手書きよりも簡便化でき、計算間違いもなくなります。検算の手間も省けます。
年調ソフトで作成した年末調整申告書を紙で印刷する(PDFで出力する)と、従来の紙の申告書の様式とは異なる形式で表示されます。
国税庁が公表している従来の様式と見た目が違っていますが、法律で定められた記載事項が網羅されているので法令上問題ありません。
年調ソフトで作成した年末調整申告書(書面)を勤務先に提出しても法令上の問題はありませんが、勤務先に事前に確認しておくと良いでしょう。
年調ソフトを実際に使ってみた感想をもとに、メリットとデメリットについてまとめます。
デメリットとというよりも、気を付けるべき点がいくつかあります。
年末調整の電子化に伴い国税庁提供の年調ソフトを使用する場合、導入前の準備や環境整備には時間や手間を要するが、導入すれば申告項目の入力作業が簡単になり、控除額の自動計算ができることで計算ミスや記入漏れを防ぐことができる等の利点がある。
