固定資産の廃棄と除却・有姿除却|資産を捨てたときの会計処理

社内の備品や設備等が壊れたり古くなったら、事業用に使うのをやめたり、廃棄処分したりします。
そのとき、会計上の処理が必要な場合もあるんです。

それはどんなときかというと、もう使わないものや捨てるものが「固定資産」のときです。

この記事では、固定資産の除却・廃棄についてまとめていきます。

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固定資産の除却

固定資産が営業のために使用できなくなったため、帳簿から取り除くことを (じょきゃく)といいます。
POINT
  • 固定資産の除却をするときは、原則として帳簿残高を固定資産除却損で経費計上することができます。
  • 除却するためにかかった費用(取壊し費用など)がある場合には、その分も固定資産除却損として経費計上できます。

 

固定資産の有姿除却

廃棄処分をしておらずまだ手元にあるが、もう捨てたも同然で今後事業に使用する可能性が絶対にないものを、現状の姿のままで除却することを「有姿除却」と言います。
POINT
  • たとえ廃棄処分していなくとも、有姿除却として 帳簿残高から処分見込額を差し引いた残額を固定資産除却損として計上することができます。
  • 有姿除却を行う場合は、その資産が今後事業に使用されることが無いということが絶対条件になります。一時的に使用を停止する場合は除却できません。

資金の支出を伴わずに経費計上ができるので、不要な固定資産がある場合には除却をすることで節税にも繋がりますね。
有姿除却できる資産は以下を満たすものです。
  1. その使用を廃止し、今後は事業に使用する可能性がないと認められる資産
  2. 特定の製品の生産のために専用とされていた金型などで、その製品の生産を中止したことにより、将来使用される可能性のほとんどないことが明らかな資産
とにかく、今後使用される可能性がないという証明が必要で、税務調査対策としても重要です。
除却の経緯や理由を社内文書で残しておいたり、稟議書や役員会の議事録等を残しておくと良いようです。

固定資産の廃棄

固定資産が営業のために使用できなくなったため、処分(完全なる廃棄処分)することを廃棄といいます。
POINT
  • 廃棄した場合には、固定資産廃棄損で計上しますが、固定資産除却損での計上でも良いとされています。

ちなみに弊社では「固定資産廃棄損」という勘定科目は使っておらず、「固定資産除却損」で計上しています。

除却の仕訳

  • 廃棄(除却)した固定資産の帳簿価格は、固定資産除却損または固定資産廃棄損として計上する
  • 帳簿価格を算出するときは、減価償却累計額を差し引くのを忘れないよう、注意が必要
例)
・数年前に100万円で買ったコピー複合機(減価償却累計額:60万円)が故障した
・この複合機は今後事業用として使用せず、廃棄処分することとした。(下取りには出さず、完全に廃棄処分する)
・廃棄処分料金として2000円かかり、現金で支払った
※この記事では、固定資産除却損に関することだけをシンプルに解説したいので、減価償却費の計算については詳しく触れません。よって、以下の仕訳にでてくる固定資産(工具器具備品)の金額は、「減価償却後の簿価」とします。
借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 402,000円 工具器具備品 400,000円(簿価)
現金 2,000円(廃棄処分料)

 

まとめ

  • 固定資産の除却とは、現在残っている固定資産の残高(簿価)をなくすこと
  • 固定資産の除却が行われた場合、固定資産除却損として経費計上することができる
  • 除却するためにかかった費用(取壊しや撤去費用等)も固定資産除却損として経費に計上することができる
  • 実際に廃棄処分していなくても、今後事業に使用しないということが明確であれば有姿除却することができる

 

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