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フレックスタイム制の基礎知識~メリット・デメリット、残業や有休の扱いは?

フレックスタイム制の基礎知識~メリット・デメリット、残業や有休の扱いは?

ワークライフバランスを大切に、柔軟な働き方を推進するためにフレックスタイム制を導入する企業が増えているそうです。

マナビト社でも、フレックスタイム制を導入しております。

この記事では、フレックスタイム制度の概要、導入のメリット・デメリット、遅刻や早退、残業や有休の取扱いについて等を解説します。

フレックスタイム制とは

労働条件のひとつである「フレックスタイム制」は、一定期間(清算期間)の定められた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業時刻と就業時刻を自分で決めて働くことができる制度です。

日ごとの勤務時間を自由に調整できるので、生活と仕事の調和を図りながら、効率的に柔軟な働き方ができます。

フレックスタイム制のしくみ

フレックスタイム制の基本

清算期間(仮に1か月とする)の総労働時間を160時間とした場合、8時~17時まで8時間働く日もあれば、10時~17時までの6時間働く日もあるなど、”1か月で160時間”を基準としてその範囲内で勤務時間を自由に設定できる仕組みが、フレックスタイム制です。

清算期間

清算期間とは、労働時間の集計期間のことです。清算期間の上限は3か月です。

清算期間が1か月を超える場合は、清算期間全体の労働時間が週平均40時間を超えてはいけないことに加え、1か月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないようにしなければなりません。
※いずれかを超えた場合は時間外労働となります。

月によって繁閑差が大きい場合でも、繁忙月に偏った労働時間にすることはできないということだね。

総労働時間

総労働時間とは、清算期間に労働すべき時間(所定労働時間)のことです。

コアタイム

コアタイムとは、従業員が必ず働く時間帯のことです。

コアタイムは企業側が任意で設定することができ、その場合は労使協定に明記する必要があります。(コアタイムを設定しない運用も可能です。)

※コアタイム以外の時間帯は、労働を強制することはできません。

フレキシブルタイム

フレキシブルタイムとは、従業員が出退勤の時間を調整できる時間帯のことです。

フレックスタイム制での残業や有休、遅刻早退の取扱い

フレックスタイム制の残業

フレックスタイム制における残業(時間外労働)の考え方は、清算期間内の総労働時間が、法定労働時間の総枠を超えているかどうかで判断します。

フレックスタイム制では、労働時間が1日8時間・週40時間を超えても、即座に時間外労働とはならず、清算期間の法定労働時間の総枠を超えた分が時間外労働にあたります。

清算期間における”法定労働時間の総枠”とは何か?については後述します。

尚、清算期間が1か月を超える場合は、下記が時間外労働としてカウントされます。

清算期間が1か月を超える場合の時間外労働

  1. 1か月ごとに、週平均50時間を超えた時間の労働
  2. 清算期間を通して、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①でカウントした労働時間を除く)

フレックスタイム制の有給休暇

フレックスタイム制において有給休暇を取得した場合は、標準となる1日の労働時間を勤務したものとして取り扱います。

清算期間内の総労働時間が所定労働時間に達していないときに、有休を利用して不足時間分にあてて調整することも可能です。

フレックスタイム制の遅刻・早退

フレックスタイム制では、遅刻や早退という概念があいまいになります。

コアタイムが設定されている場合には、その時間帯に勤務していなければ遅刻や早退となるでしょう。

遅刻や早退があったとしても、その清算期間内の総労働時間が所定労働時間を上回っていれば、賃金の控除はされないということになります。

フレックスタイム制のメリットとデメリット

フレックスタイム制の導入には、企業側と従業員側双方にとってメリットがあります。

フレックスタイム制のメリットとは

フレックスタイム制のメリット
  • 日々の出勤時刻/退勤時刻を労働者が自由に決めることができる
  • 労働者が生活(プライベート)と仕事のバランスをとりやすい
  • 労働時間を効率的に振り分けることができるので、労働生産性の向上につながる
  • 通勤ラッシュの時間帯を避けて出社・退社することができる
  • 労働者が長く職場に定着できる環境となる(離職防止)=企業側にとってもメリットがある
  • 業務の繁忙期と閑散期に合わせて労働時間の配分を調整できる(無駄な残業を抑える)=企業側にとってもメリットがある

保育園の送り迎えがあるから、延長保育にならないように退社をすることができて助かってます。子どもが急に熱を出しても、勤務時間を調整できます。

通院や習い事など、仕事以外の時間を確保しやすいので生活満足度が高まって毎日が充実しています!

フレックスタイム制のデメリット

フレックスタイム制にデメリットは基本的にはありませんが、強いていえば、企業側にとっては従業員の労働時間の管理が複雑になること、従業員にとってはしっかりとした自己管理・労働時間管理が求められるということです。

フレックスタイム制導入のルール

フレックスタイム制を導入するにあたっては、要件やルール、留意事項があります。

就業規則等への規定と労使協定の締結が必要

フレックスタイム制を導入する際には、就業規則に「始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる」ことを明記する必要があります。

コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合は、その時間帯についてもあわせて就業規則に記載が必要です。

さらに、労使協定で以下の事項を定める必要があります。

  1. 対象となる労働者の範囲
  2. 清算期間
  3. 清算期間における総労働時間
  4. 標準となる1日の労働時間
  5. コアタイム(任意)
  6. フレキシブルタイム(任意)

※清算期間が1か月を超える場合には、労使協定を労働基準監督署へ届け出る必要があります。(違反すると30万円以下の罰金が科せられる場合もあります)

※清算期間が1か月以内の場合には届出不要です。

時間外労働に関する取扱いが通常とは異なる

フレックスタイム制を導入した場合、労働者が日々の労働時間を自分で決めることになります。そのため、1日8時間/週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働とはなりません。

逆に、1日の標準の労働時間に達しない日があったとしても、その時間が欠勤となるわけではありません。

フレックスタイム制では、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。

清算期間における法定労働時間の総枠とは

1週間の法定労働時間(40時間)× 清算期間の暦日数 = 清算期間における法定労働時間の総枠

たとえば、清算期間が1か月の場合は、法定労働時間の総枠は次のようになります。

清算期間の暦日数1か月の法定労働時間の総枠
31日177.1時間
30日171.4時間
29日165.7時間
28日160.0時間
完全週休二日制の特例

完全週休二日制の企業でフレックスタイム制を導入している場合、1日8時間相当の労働でも、曜日の巡りによって、清算期間における総労働時間が、法定労働時間の総枠を超えてしまう場合があります。
どういうことかというと、残業していないにも関わらず時間外労働が発生することになります。この問題の解消のため、完全週休二日制の特例制度があります。

<完全週休特例に関する記事は現在作成中です>

清算期間における総労働時間と実労働時間との過不足に応じて賃金の支払いが必要

フレックスタイムでは、清算期間における総労働時間と実際の労働時間との過不足に応じて、賃金の清算を行わなければなりません。

  • 実労働時間が、清算期間における総労働時間を超過した場合
    → 超過時間分の賃金清算を行う
  • 実労働時間が、清算期間における総労働時間より不足している場合
    → ①不足時間分の賃金を控除する
    または
    → ②不足時間を繰り越して次の清算期間の総労働時間に合算する

フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻の決定を労働者に委ねる制度ですが、使用者が労働時間を管理しなくてもよいわけではなく、むしろ適切に管理・把握し、労働時間管理や賃金清算を行う必要があります。

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