


交通事故を防止し 安全運転を確保するため、道路交通法では自動車の使用者(事業所)に対して安全運転管理者等を選任する義務を定めています。
緑ナンバーだけでなく、白ナンバーにも義務化される「社用車を運転する前後のアルコール検知器による酒気帯びチェック」を行うのも、この安全運転管理者の業務のひとつです。
この記事では、事業で車を使うなら絶対に知っておくべき 安全運転管理者の選任とその管理業務について、ポイントをまとめています。
目次
事業所での安全運転を確保するための制度として「安全運転管理者制度」があります。
自動車の使用者(ここでは事業所の代表等を指します)は、規定の台数(後述*)以上の自動車を使用する場合、その本拠ごとに、安全運転管理者を選任しなければならないと道路交通法で定められています。
* 事業で自動車を使用していて下記のいずれかに該当する場合、安全運転管理者を選任しなければなりません。
先述した通り、事業で使用する自動車を一定数以上(自動車5台以上、または乗車定員11名以上の自動車を1台以上)保有する事業所は、安全運転管理者選任事業所となります。
該当する事業所は、道路交通法により 以下のことが義務付けられています。
安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合には罰則があり、5万円以下の罰金が課されます。
安全運転管理者は、誰でもなれるわけではなく、年齢や実務経験、違反行為を行っていないなどの要件を満たしていなければなりません。
安全運転管理者
副安全運転管理者
詳しくは 警視庁ホームページ をご参照ください
安全運転管理者は、道路交通法に基づき、内閣府令で定められている9つの安全運転管理基本業務を行わなければなりません。
自動車の運転に関する運転者の適性、技能・知識、道路交通法や命令の規定の遵守状況を把握する措置を講ずること。
最高速度違反、過積載運転、過労運転、放置駐車違反の防止など安全運転の確保に留意した運行計画を作成すること。
運転者が長距離運転や夜間運転に従事する場合に、疲労等により安全な運転が継続できないおそれがあるときには、あらかじめ交替運転手を配置すること。
異常気象、天災等により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示をするとともに、安全運転を確保するための措置を講ずること。
運転者に対して点呼を行う等により、日常点検を実施させるとともに、飲酒、過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれがないか確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
運転前後の運転者に対して、運転者の状態を目視等で確認することで、酒気帯びの有無を確認すること。
2023年12月1日からは、 アルコール検知器を使ってチェックすることが必須となります。
酒気帯びの有無の確認の内容を記録し、その記録を1年間保存すること。
記録を1年間保存することに加え、アルコール検知器を常時有効に保持することが加わります。
運転者名、運転の開始・終了の日時、運転距離、その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識など安全運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。
アルコール検知器を使った酒気帯びチェックについて、詳しくはこちらの記事にまとめています。
安全運転管理者が安全運転管理に必要な知識等を習得するため、法定講習(安全運転管理者等講習)が実施されています。
自動車の使用者(事業所)は、公安委員会から「安全運転管理者等に対する講習」の通知を受けたときは、安全運転管理者等にその講習を受けさせる義務があります。
※この講習は、既に選任されている安全運転管理者等に対する講習であり、安全運転管理者になるために必要な講習ではありません。
一定の自動車を保有している事業所は、安全運転管理者を選任しなければなりません。
安全運転管理者選任事業所にあたるにも関わらず、安全運転管理者を選任していない事業所がありましたら、まずは速やかに選任手続を行いましょう。
安全運転管理者の選任後は、定められた管理業務を確実に実行していく必要があります。