ダブルワーク・バイト掛け持ち・副業の人が、複数の会社で社会保険の加入要件を満たした場合の社会保険加入についてまとめています。
目次
アルバイト掛け持ちと社会保険加入
社会保険の適用拡大により、社会保険に加入することになったアルバイトの人がいます。
この人は実はバイトをかけもちしているダブルワーカーで、もう一方のバイト先でも、社会保険の加入要件を満たしています。
この場合、この人の社会保険はどうなるのでしょう?
社会保険は要件を満たしたすべての事業所で加入する!
社会保険加入に関して、複数の事業所(会社)で働いていて、複数の事業所で社会保険の加入要件を満たした場合は、そのすべての事業所で加入することになります。
社会保険は、二重加入になる場合がある…。
これ、知らずにダブルワークしている人も多いのでは?
事業所A | 事業所B | 社保加入はどうなる? |
適用要件を満たす | 適用要件を満たさない | 事業所Aで加入 |
適用要件を満たす | 適用要件を満たす | A・B 両方で加入 |
適用要件を満たさない | 適用要件を満たさない | 加入しない |
※社会保険の加入要件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
健康保険証が2枚!?
例えば、2か所の事業所で社会保険に加入したら、健康保険証は2枚持つことになるのでしょうか?
答えはノーです。健康保険証は1枚しか発行されません。
2か所のうちどちらの会社の保険証になるのかというと、従業員本人が選択することになります。
詳しくは次の章で解説します。
手続きはどうする?
複数の事業所で社会保険に加入することになった場合、被保険者(従業員本人)が、主となる事業所を選択し、届け出る必要があります。
具体的には、事実の発生から10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を日本年金機構へ提出しなければなりません。
主たる事業所について、現時点では「給与が多い方でなければならない」等のルールはありません。
このとき選択した会社で健康保険給付に関する手続きを行うので、健康保険証も選択した会社から発行されることになります。
健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届の提出について | |
提出期限はいつまで? | 事実発生から10日以内 |
どこに提出する? | 選択する事業所の所在地を管轄する年金事務所 |
どうやって提出する? | 電子申請、郵送、窓口持参 |
標準報酬月額はどうなる?
標準報酬月額は、それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額で決まります。
社会保険料はどうなる?
保険料額は、各事業所の報酬月額を合算して決定した標準報酬月額から算出される保険料を、それぞれの事業所で受ける報酬月額で按分します。
そして、どちらの会社の給与からも、それぞれその按分した社会保険料が控除されます。
少し複雑ですね。もっと詳しく細かい部分まで知りたいときは、厚生労働省の資料が参考になります。
厚生労働省「二以上事業所勤務被保険者に係る保険料計算の考え方について」
雇用保険は1か所の事業所でのみ加入
要チェック!ここまで、社会保険は加入要件を満たしたすべての事業所で被保険者となるという話をしてきましたが、ややこしいことに雇用保険に関しては、主たる賃金を受ける事業所、1か所のみで加入となります。(※65歳以上のマルチジョブホルダーを除く)
混同しやすいので注意が必要です。
副業推進の流れが強くなっていますが、社会保険や雇用保険の加入・労働時間の管理など、複雑なことも多いのが現状です。
労働者本人はもちろんのこと、会社の人事労務担当者も ダブルワーカーに関わる各種制度について確認しておきたいですね。