「男女の賃金の差異」の公表が義務化|女性活躍推進法

2022年に改正された女性活躍推進法により、労働者が301人以上の事業主は「男女の賃金の差異」を公表することが義務付けられました。

ここでは、男女の賃金の差異の算出方法や公開の仕方、期限などについてまとめます。

男女の賃金の差異公表に関する制度

2022年に女性活躍推進法に関する制度が改正され、労働者が301人以上の企業に「男女の賃金の差異」を公表することが義務付けられました。

男女の賃金格差の縮小と、男女共同参画推進が目的のひとつです。

※女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)について詳しくはこちらの記事にまとめています。

※2022年4月より、従業員101人以上300人以下の企業についても情報公表が義務付けられていますが、「男女の賃金の差異」については任意で選択して公表する項目に含まれているため、300人以下の企業では必ずしも男女の賃金の差異について公表しなければならないわけではありません。

公表する情報の内容

労働者が301人以上の事業主は、以下の情報を公表する必要があります。

  1. 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供:8項目から任意の1項目以上
    + [新設] 男女の賃金の差異:必須
  2. 職業生活と家庭生活との両立:7項目から任意の1項目以上
①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  2. 男女別の採用における競争倍率
  3. 労働者に占める女性労働者の割合
  4. 係長級にあるものに占める女性労働者の割合
  5. 管理職に占める女性労働者の割合
  6. 役員に占める女性労働者の割合
  7. 男女別の職種または雇用形態の転換実績
  8. 男女別の再雇用または中途採用の実績
  9. [新設] 男女の賃金の差異(301人以上の企業は必須)
②職業生活と家庭生活の両立
  1. 男女の平均継続勤務年数の差異
  2. 10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
  3. 男女別の育児休業取得率
  4. 労働者の一月当たりの平均残業時間
  5. 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
  6. 有給休暇取得率
  7. 雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

男女の賃金の差異の算出方法

男女の賃金の差異は、1事業年度における男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を算出します。

100%であれば、男女の賃金の差異がないということになります。
80%であれば、女性の賃金が男性より20%低いということになります。

以下の3つの区分に分けて算出・公表しなければなりません。

  1. 全従業員
  2. 正社員
  3. 非正規雇用の従業員(パート・有期社員)

算出方法について詳しくは、厚生労働省作成の資料で確認できます。
→ 男女の賃金の差異の算出方法等について|厚生労働省 [PDF]

公表の期限

初回の男女賃金の差異の情報公表は、1事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に、賃金の差異を算出した対象期間を明示して、公表しなければなりません。

公表の仕方

情報公表は、厚生労働省が運営している「女性の活躍推進企業データベース」や、自社のホームページなどに、求職者等が閲覧できるようにして公開しなければなりません。

公表のイメージ
男性の賃金に対する女性の賃金の割合
すべての労働者 ●●.●%
 うち正規雇用労働者 ■■.■%
 うちパート・有期労働者 ▲▲.▲%

対象期間:○○事業年度(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日)

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