2020年2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められました。
これにより、会社内でも感染防止対策を行ったり、もし感染者が発生したときのための備えが必要となりました。
この記事では、新型コロナウイルスが関係する労務のうち、安全衛生や感染拡大防止対策、労災補償について「労務担当者の視点で」わかりやすく会話形式でまとめます。
臨時休業や休業手当に関する記事も合わせてご確認ください。
目次
新型コロナウイルス感染防止のための安全衛生対策について
1社内でのマスク着用を義務付けるとき
新型コロナウイルスの流行を受けて、社内感染のリスクを少しでも小さくするため、全社員にマスク着用と毎日の検温、手洗い・消毒、うがいを義務付けたいと思うのですが、なにか問題はありますか?
マスク着用ができない合理的な理由がない限り、業務命令としてマスク着用や手洗いうがいの実施を義務付けることは問題ありません。
労働者は、労働契約に基づき、使用者が業務遂行のために行う指示・命令に従う義務を負っています。
使用者の負う安全配慮義務の観点からみても、職場での感染予防策として意味のあることだと思います。
労働者は、労働契約に基づき、使用者が業務遂行のために行う指示・命令に従う義務を負っています。
使用者の負う安全配慮義務の観点からみても、職場での感染予防策として意味のあることだと思います。
マスクが手に入らないという従業員も出てくることが予想されますが、会社側でマスクを用意した方が良いのでしょうか?
マスク着用を義務とする場合、マスクは会社の費用負担によって従業員に与えることが適していると言えます。
2社員のプライベートに対する外出制限
従業員に対して、会社が休みの日の不要不急の外出や不特定多数の集まるコンサートやジムへ行くことを控えるよう求めることは問題になりますか?
不要不急の外出を控えるよう呼びかけることは問題ありませんが、完全に禁止することは難しいです。
本来、使用者は従業員の私生活上の行為に介入することはできません。
ただし、新型コロナウイルス感染症が流行する地域への私的渡航について、感染する危険が著しく高い行為であるといえる場合には、禁止することが可能と考えられます。
本来、使用者は従業員の私生活上の行為に介入することはできません。
ただし、新型コロナウイルス感染症が流行する地域への私的渡航について、感染する危険が著しく高い行為であるといえる場合には、禁止することが可能と考えられます。
コロナウイルスに感染したときの労災補償について
業務中に新型インフルエンザに感染したかもしれない、という状況になった場合、労災の対象となりますか?
労災保険給付の対象となるためには、業務に起因して感染したということが認められる必要があります。
例えば、医師・看護師などの医療従事者、介護従事者等は、明らかに業務外での感染であることがはっきりしている場合を除き、労災として認められます。
例えば、医師・看護師などの医療従事者、介護従事者等は、明らかに業務外での感染であることがはっきりしている場合を除き、労災として認められます。
fa-pencil
労災認定のPOINT1
患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。
感染経路がはっきりとわからない場合は、どのように判断するのですか?
感染経路が確定していなくても、感染リスクが高い業務に従事していた場合は、潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)を判断します。
fa-pencil
労災認定のPOINT2
医療や介護従事者以外の労働者は、業務の実情と業務起因性を調査・感染経路が判明し、感染が業務によるものである場合には、労災保険給付の対象となります。
fa-pencil
感染リスクが高く、労災保険給付の対象とされる場合が多い業務の例
- 複数の感染者が確認された労働環境下での業務(請求人を含め、2人以上の感染が確認された場合。同一事業場内で、複数の労働者の感染があっても、お互いに近接や接触の機会がなく、業務での関係もないような場合は、これに当たりません。)
- 顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務(小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務等)
fa-external-link新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて(通達)[PDF]
fa-bookmarkこの記事は、厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を参考にしてまとめました。
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省