

アルバイトをしながら大学生活を送る学生は少なくありません。
お小遣い稼ぎや学費のためなど、働く理由や働き方は人それぞれだと思います。
勉強とバイトの両立を頑張る学生さんは素敵です。
しかしアルバイトを頑張りすぎて一定の収入を超えると、親や自分が損をしたり、手取り金額が減ってしまう場合があるということをご存知ですか?
この記事では、”働く学生と所得税”をテーマに、税の仕組みや制度についてわかりやすくまとめます。
※ここでは所得税をメインに解説しています。住民税については控除額等が異なりますのでご注意ください。
目次
所得税は 働いて収入を得ることで発生する税金で、収入に応じて納税額が決まります。
アルバイトやパートでも、学生であっても、誰でも1年間に一定額以上の金額を稼ぐと所得税を納めなければなりません。
収入が高くなればなるほど納める税額も増えるわけですが、単純に収入額だけで税額が決まるわけではなく、その人の事情に合わせた「控除」が受けられ、その上で税額が決まります。
たとえば扶養している家族がいる人は「扶養控除」を受けることで税金の負担が少なくなるような仕組みになっています。
大学生の子どもがいる親は、その子どもを扶養親族として扶養控除を受けられます。
扶養親族の中でも、19歳以上23歳未満の人(ちょうど学生の年代です)は「特定扶養親族」といい、通常の扶養親族よりも多く控除を受けられ 税負担が軽くなるようになっています。
ただし、扶養される人の年収は、上限(給与収入123万円以下)が決められているため、子どもの収入が多くなると扶養から外れてしまいます。
扶養親族の中でも、19歳以上23歳未満の人を特定扶養親族といいます。これは学生であるかどうかは関係なく、年齢と収入等の要件を満たしていれば適用を受けることができます。
通常の扶養控除は38万円ですが、特定扶養親族の控除額は63万円(住民税では45万円)と高額の控除を受けられます。
2025年の税制改正により、「特定親族特別控除」が新設されました。
これにより、アルバイトをする大学生の子どもの年収が150万円以下(給与収入のみの場合)であれば、親は、特定扶養控除と同額の63万円の控除を受けることができるようになりました。
子どもの年収が150万円を超えても、188万円以下であれば段階的に控除がうけられます。
特定扶養控除や特定親族特別控除についての詳細は、下記の記事にて詳しく解説しています。
子どもが扶養から外れるということは、親の税負担が増えるということです。
学生の子どもが扶養から外れることでどのくらい税金が増えるのかというと、たとえば親の年収を500万円と仮定すると、特定扶養親族控除を受けられないことでなんと約10万円程も税金が増えるのです!
これは結構大きいですよね。
さらに、親の扶養から外れた学生自身にも税負担が発生するということになります。
では、学生はバイトでいくら稼ぐと税金を納めなければならなくなるのか、詳しく解説していきます。
学生のバイトで特に気を付けなければならない金額として、2つの壁があります。
それは、年収「150万円」と「160万円」です。
150万円の壁 | ・特定扶養控除または特定親族特別控除で、満額の63万円の控除を受けることができる ・健康保険で親の扶養に入れる |
160万円の壁 | 学生自身に所得税がかかる |
(以下に年収123万円の壁についても記載していますが、実際のところ123万円はあまり気にする必要はないでしょう。)
年収123万円以下であれば、税法上の親の扶養に入れます。(扶養親族の中でも19歳~22歳は特定扶養親族と呼ばれ、控除額が増える(特定扶養控除)ので、親の税負担が軽くなります。)
子どもの年収が123万円を超えると、扶養親族から外れるため、親は特定扶養控除が受けられなくなります。(ただし、子が19歳~22歳であれば、2025年に創設された「特定親族特別控除」の対象となるため、子が年収150万円以下であれば、親は特定扶養控除と同じ63万円の控除を受けることができます)
学生がバイトで年収150万円を超えると
学生の年収が160万円を超えると、学生本人に所得税がかかります。(年収160万円までは所得税がかかりません。)
年収160万円以上になると、社会保険料と税金の両方の負担が生じます。そうなるとせっかく頑張って働いているのに手取り収入が減ってしまうことになる場合もあります。
学生のアルバイト収入に関しては、「勤労学生控除」という控除制度を受けることができます。
勤労学生控除を受ければ、27万円の控除を受けられます。
シンプルに言うと、勤労学生は年収160万円を超えてしまっても、年収187万円までは所得税がかからないと言えます。
※勤労学生控除を受けるためには要件があります。
子どもの年収が188万円を超えると、親は特定親族特別控除を受けられなくなります(親の税負担が増えます)。
学生がアルバイトをする際、親の税優遇も満額受けられ、自分の負担もおさえたい場合は、年収150万円以内で働くのが良いでしょう。だいたい1か月のバイト代が12万5千円以内ということになります。
学業とアルバイトをうまく両立するためには、こういった知識を備えておくことも大切ですね。
税金の課税や控除の仕組みについて知ることは、社会人になってからも役立ちます。