子ども名義の通帳への貯金は税金がかかる?!贈与税の対象と対策

子ども名義の通帳を作って、親が管理しているケースは多いと思います。

子どもが貰ったお祝いやお年玉を預かって入金したり、教育資金を貯めるためだったり、将来子どもが巣立つときに渡すためだったりと理由や用途は様々。マイナンバーカードに子どもの公金受取口座を登録するために口座開設したという方も多いかもしれません。

家計のお金と分けて管理することで、子どものための資金を確実に貯めることができ、残高も明確になるという点がメリットのひとつですが、実は気を付けなければならない注意点がいくつかあります。

この記事では、子ども名義の預金口座に貯金をするときに気を付けなければならないこと(デメリット)や、税金対策について解説します。

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子ども名義の預金口座への貯金|デメリット

子ども名義の預金口座に貯金をするときに気を付けなければならない点は以下の3つです。

  1. 税金の課税対象となる場合がある
  2. 子どもが成人すると親がお金を引き出しにくくなる
  3. 長期間放置すると休眠口座になる可能性がある

詳しく解説していきます。

1 税金の課税対象になる場合がある

  • 子どもに渡す金額によって、贈与税が課税される可能性がある
  • 子どもにお金を渡す前に親が亡くなってしまった場合、親の財産(名義預金)とみなされ相続税が課税される可能性がある

親が子ども名義の通帳に貯めたお金は、子どもの財産ではなく親の財産です。

子ども本人に渡すときに、渡す金額によって贈与税がかかる場合があります。(※税額等詳しくは後述します。)

口座を介さず、現金を手渡して贈与した場合、贈与税の申告漏れ・納税漏れにも注意が必要です。

尚、親が子ども名義の通帳に入金しただけでは贈与したことにはなりませんので、子ども本人に渡す前に親が亡くなった場合には相続財産となり、相続税がかかる可能性があります。

子ども名義の貯金と税金については、後ほどもっと詳しく解説します。

2 子どもが成人すると委任状が必要となる

子どもが未成年のときは、親が法定代理人として口座管理をすることができますが、成人後は原則として本人が口座管理をすることとなります。

子どもが成人したあとで、子どもの口座から親が引出や振込などでお金を動かすときには、委任状が必要となるので注意が必要です。

3 10年以上利用がないと休眠口座となる

預金口座は10年以上動いていないと「休眠口座」となります。

子どもが小さなころは毎月積み立てていたけれど、あるときから放置していた等の理由で、いざ預金を引き出そうとしたときに休眠口座になっていると困ってしまいます。

贈与税の対象と対策を知っておこう

ここからは、子ども名義の貯金と税金の関係について解説していきます。

子ども名義の預金に課税される可能性がある税金は「贈与税」と「相続税」です。

相続税は、親が亡くなってしまった場合に課税される可能性がありますが、贈与税は親が子どもにお金を渡したときに発生します。

年間110万円までは非課税などのルールがありますので、ここで整理して確認しておきましょう。

贈与税とは?

贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税金です。(もらった側の人にかかります。)

贈与税の申告と納税は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに行わなければなりません。

贈与税はいくら課税される?

贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額で計算し、1年間で受け取った財産の合計から、基礎控除110万円を差し引いた残りの額に対して課税します。

よって、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下ならば贈与税はかからないということになります。

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、贈与を受けた人は贈与をした人ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。詳しい計算方法はここでは割愛します。

もっと詳しく知りたい方は国税庁ホームページでご確認ください。
財産をもらったとき|国税庁

贈与税を回避したい!節税対策は?

税金を納めるためではなく、子どものためにコツコツと積み立てたお金です。積み立てたお金は1円でも多く子どもに渡したいですよね。

贈与税には特例措置があり、お金を渡す目的と金額によっては贈与税がかかりません。

贈与税が発生しないケースとその金額を確認しておきましょう。

贈与税は年間110万円まで非課税

贈与税が非課税となるケース
  • 年間110万円までの贈与は非課税

子ども1人が1年間に受け取った金額が110万円を超えていなければ、贈与税は発生しません。

ですから、毎年110万円以下の範囲内で渡せば贈与税を回避できるということになります。

贈与税非課税の特例措置

贈与税には非課税措置があり、以下のようなケースでは贈与税がかかりません。

贈与税がかからないケース
  • 教育資金としての贈与(1500万円以下)
    ∟ 「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」※2026年3月31日まで適用
  • 住宅購入資金としての贈与(500万円以下、省エネ住宅の場合は1000万円以下)
    ∟ 「住宅取得等資金の非課税の特例」
  • 結婚・子育て資金としての贈与(1000万円以下)
    ∟「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」※2025年3月31日まで適用
  • 相続時精算課税制度の利用(2500万円以下)

これらの非課税措置を受けるためには、贈与したお金が教育資金などとして使われたことが証明できる領収書などの書類や記録が必要です。

その他にも税務署へ提出が必要な書類があったりと、正しく手続きをしなければ非課税措置が適用されず、贈与税がかかりますので注意しましょう。

それぞれの非課税措置について、詳しくは国税庁のホームページを確認できます。

No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁
≫ No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
≫ No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

贈与契約書を作成しておこう

贈与の事実を明確に税務署へ証明するために、親子間で贈与に同意した事実を書面に残しておくと良いです。

贈与の日付、誰から誰への贈与なのか、贈与した金額はいくらなのかを「贈与契約書」などを作成して残しておきます。

また、子ども本人にも贈与について認識させておくことも大切です。(民法上、贈与を受ける人が贈与について認識し承諾していなければ、贈与として成立しません。)

最後に

子どもの将来のためにとコツコツ貯めてきたお金は、子どもへの渡し方や金額によっては税金の課税対象になってしまいます。

贈与税・相続税は財産を受け取った側、つまり子どもにかかることになるので、負担にならない貯め方・渡し方を検討しておく必要があります。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

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