リサイクル預託金の会計処理~勘定科目と仕訳、消費税の取扱い

この記事では、自動車のリサイクル料金「リサイクル預託金」の会計処理について解説します。

勘定科目や仕訳、消費税など、経理上の取扱いをわかりやすくまとめていきます。

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リサイクル預託金とは?

リサイクル預託金とは、自動車を廃車処分するために必要な費用(リサイクル料金)で、自動車リサイクル法という法律に基づいて車の所有者が負担するものです。

自動車リサイクル料金や自動車リサイクル法の概要については、別の記事で解説しています。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

リサイクル預託金は5つから成る

リサイクル料金の内訳は、以下の5つで構成されています。

シュレッダーダスト料金 自動車を解体・破砕した後に残るごみのリサイクル費用
エアバッグ類料金 エアバッグ類の適正処理に必要な費用
フロン類料金 カーエアコンのフロン類を回収・破壊するために必要な費用
情報管理料金 使用済み自動車の引取り・引渡しの情報管理に必要な費用
資金管理料金 リサイクル料金の管理に必要な費用

 

リサイクル預託金の会計上の取扱い

リサイクル料金(リサイクル預託金)の会計処理

リサイクル料金を支払った(預託した)場合、シュレッダーダスト料金・エアバッグ類料金・フロン類料金・情報管理料金の4つは、自動車所有者の「資産」となります

会計処理上の勘定科目は、預託金」や「リサイクル預託金」、「長期前払費用として資産勘定に計上することになります。

車を買ったときに支払うものですが、車を買ったときの費用として処理することはできないということに注意が必要です。

ただし、リサイクル料金のうち ⑤の資金管理料金については、支払った時点で費用として処理します。

① シュレッダーダスト料金 資産
(預託金・長期前払費用など)
② エアバッグ類料金
③ フロン類料金
④ 情報管理料金
⑤ 資金管理料金 費用(支払手数料など)

車を買ったときのリサイクル料金の会計処理(仕訳)

リサイクル料金の具体的な会計処理について、車の購入時、売却時、廃車時にわけて それぞれの仕訳例をあげて解説します。

▼ 仕訳例1:新車購入時

・新車Aを購入し、リサイクル預託金として現金1万円を支払った。
1万円のうち、500円は資金管理料金である。

(ここでは例として、リサイクル預託金を「預託金」勘定に計上します。)

借方 貸方
預託金 9,500円 現金 10,000円
支払手数料 500円

消費税は? 預託金は、この段階では消費税不課税(対象外取引)となります。ただし、資金管理料金(支払手数料)は、課税取引です。

リサイクル預託金は、廃車にするときに必要となる費用をあらかじめ預託しておくものなので、この時点では「預けている」状態なので、資産計上することになります。

別の言い方をすれば「前払い」なので「長期前払費用」として計上してもOKです。

 

▼ 仕訳例2:中古車購入時
車Aを新車ではなく中古車として購入したと仮定すると、仕訳は以下のようになります。

・中古車を購入し、リサイクル料金相当額を支払いリサイクル券を受け取った。

借方 貸方
預託金 9,500円 現金 9,500円

消費税は? 中古車を譲渡する場合は、リサイクル預託金も譲渡することになります。消費税上は、金銭債権の譲渡なるため、非課税取引となります。

中古車を購入したら、新しい所有者が元の所有者へリサイクル料金相当額を支払いますが、通常、資金管理料金の支払いはありません。(新車を買って最初にリサイクル料金を支払った人が、資金管理料金を負担することになります。)

 

廃車にして引取業者に引き渡したときの会計処理(仕訳)

自動車を廃車(使用済自動車)にするときは、預託金(資産)を費用として処理します。

▼ 仕訳例3:廃車時

・仕訳例1で購入した自動車(新車A)を廃車にした。

借方 貸方
支払手数料 9,500円 預託金 9,500円
消費税は? 課税取引です。

預けていたリサイクル預託金が実際に使われるのは廃車にするときなので、廃車のタイミングで費用とします。
具体的には、預託金(資産)を 支払手数料など(経費)に振替えます。

車を譲渡しリサイクル預託金の返金を受けたときの会計処理(仕訳)

自動車を売却や下取りなどで譲渡したときは、一般的にリサイクル預託金相当額が返金されます。

▼ 仕訳例4:売却時

・仕訳例1で購入した自動車(新車A)を売却し、リサイクル預託金が返金されたので現金で受け取った。

借方 貸方
現金 9,500円 預託金 9,500円

消費税は? 金銭債権の譲渡のため、消費税は非課税です。

リサイクル預託金の消費税区分の取扱い

先述した仕訳例の中でも、注釈として消費税区分を書きましたが、改めて消費税の取扱いについて解説します。

リサイクル預託金は状況によって税区分が異なる

リサイクル預託金について仕訳をするときには、そのときの状況によって消費税区分が異なるということんい注意が必要です。

・初めてリサイクル料金を支払った場合

車を購入したときに支払う預託金(シュレッダーダスト料金・エアバッグ類料金・フロン類料金・情報管理料金の4つ)は、廃車時に課税取引として処理されるので、預託した段階では 消費税不課税(課税対象外)となります。

・すでにリサイクル料金が支払われている場合(預託済)

リサイクル料金を支払済みの中古車の売買については、預託金は金銭資産となるため「金銭の譲渡」にあたり、消費税は非課税取引となります。

よって仕訳の際は、中古車の車両本体の価格とリサイクル預託金を別々に処理しなければならないことに注意が必要です。

※不課税取引と非課税取引の違いによって、消費税申告書の仕入控除金額が変わり、消費税額に影響がある場合がありますので注意してください。

・自動車を廃車にしたとき

廃車にするときには、リサイクル預託金を費用として計上します。

このときは課税取引なので消費税区分は課税仕入となり、その時点での税率が適用されます。

 

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