
償却資産ってそもそも何?という基本的なことから、償却資産にかかる税金である償却資産税(固定資産税)や申告に関することまで、5分でわかるように簡単にまとめました。
目次
固定資産とは?
「固定資産」とひとくちに言っても、「会計上の固定資産」と「税法上の固定資産」の2通りの意味があります。
この記事では、地方税である「固定資産税」に関するあれこれをまとめていくので、「税法上の固定資産の話なんだね」と思いながら読み進めてください。
固定資産税とは?
償却資産のことをまとめていくまえに、「固定資産税」についても確認していきましょう。
●固定資産税とは?
固定資産税とは、所有している固定資産(土地、家屋、償却資産)に対する税金で、固定資産の資産価値(評価額)に応じて課税されます。
●なぜ土地や家を持っているだけで税金がかかるのか?
なぜ土地、家屋、償却資産を保有していると税金をとられるのかというと、固定資産税は、固定資産の保有と市町村が提供する行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、応益原則に基づいて課税される財産税だからです。
① 資産の所有者と市町村の行政サービスとの間に受益関係が発生する
② 資産を保有するという事実に納税者の担税力が認められる
という二つの側面があります。
土地や家などの固定資産は、道路を作るといった行政サービスによって、利便性の向上、資産価値の向上などの恩恵を受けていると考えられます。
そこで、その恩恵を受ける人(固定資産の所有者)が、資産価値に応じた税負担をする、という理論になります。
償却資産とは?
ここからはようやく本題である「償却資産」について解説していきます。
償却資産とは 簡潔に言うと、土地・建物以外で事業用に使用している資産で、単価10万円以上のものです。
会社や個人で事業を営んでいる方が事業の用に供する資産で、具体的には「構築物」や「機械・装置」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」、「工具器具備品」などです。
※自動車税・軽自動車税が課される車両は含みません。
償却資産税とは?
償却資産税とは、償却資産にかかる固定資産税のことです。
便宜上「償却資産税」と呼ばれているだけで、実際はそのような名称の税金はありませんのでご注意ください。
あくまでも償却資産にかかる税金は「固定資産税」なのです。
●償却資産税の課税の流れ
1月1日現在で事業用の償却資産を所有している場合、市区町村内に償却資産の申告が必要です。
家庭用にのみ使用されているものは償却資産に該当しませんが、家庭用にも事業用にも使用されている場合は 償却資産に該当します。
- 毎年、1月1日に所有している償却資産をまとめ、1月31日までに所在地である市区町村へ償却資産申告書を提出します。
- 申告された償却資産に対し市区町村は、国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて評価をします。
- 取得価額をもとに取得後の経過年数に応じた減価を考慮して、評価額が決定されます。
●なぜ償却資産は毎年申告しなければならないのか
土地や建物は申告しなくても良いのに、なぜ償却資産だけ毎年の申告義務があるのかというと、理由は簡単で、申告してもらわなければ市区町村が償却資産の所有状況を把握できないからです。
土地・建物には登記制度があるので、自ら申告しなくても課税されます。
償却資産の申告について、簡単にわかりやすくまとめた記事はこちらです。実務的なことはこちらの記事をご参照ください。
●なぜ償却資産は固定資産税の対象なのか
なぜ資産を持っているだけで税金がとられるのか、疑問ですよね。
償却資産が固定資産税の課税対象となっている理由は、償却資産を所有する事業者が 所在地の市町村から行政サービスを受けていること、その受益と事業活動の関係に着目した結果だそうです。
土地や家屋と同様の考え方(応益課税の原則)に基づき、課税することとされているようです。
償却資産をたくさん所有しているからといって受益が大きいのか?うーん、納得できるようなできないような・・・。
●償却資産税の免税点とは
償却資産においては、課税標準額が150万円未満の場合、免税点未満となり固定資産税は課税されません。
※課税標準額合計が免税点(150万円未満)となる場合でも、申告は必要です。
償却資産と減価償却資産って何が違うの?
償却資産と似た言葉で「減価償却資産」があり紛らわしいですが、減価償却資産には償却資産だけでなく建物・車両・ソフトウエア・営業権等も含まれます。
税務署に提出する書類は、国税(所得税等)の計算のためのもので、償却資産の申告書は市税である固定資産税の計算のためのものですので、両者は異なるものなのです。