所得金額調整控除とは?共働き子育て世帯なら夫婦のどちらも控除できる!

平成30年度税制改正により、給与所得控除及び基礎控除などの見直しが行われ、所得金額調整控除が創設されました。

令和2年(2020年)の年末調整・令和3年(2021年)3月期限の確定申告から影響がある「所得金額調整控除」についてまとめます。

[2023年11月6日追記]
この記事は令和2年の年末調整書類の記入の仕方についてまとめた記事です。
令和3年(2021年)、令和4年(2022年)、令和5年(2023年)、令和6年(2024年)についても様式や記入の仕方については変わりありません。

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所得金額調整控除の概要

所得金額調整控除とは
ある一定の給与所得者の総所得金額を計算するときに、一定の金額を給与所得の金額から控除するというもので、給与所得控除の上限額の引き下げによる負担増が実質的に生じないようにするための措置
「一定の給与所得者」「一定の金額」など、一定って一体何なのよ、という感じになってしまいますが、かなり簡単に言うと、2020年度からの給与所得控除の改正によって税負担が増加する、
年収850万円を超える人の中で、子育て・介護中の世帯への配慮
給与所得と年金所得の両方を有する人の税負担が増えないようにするための措置
です。
所得金額調整控除は上記の2種類あり、①の控除は年末調整で適用することができます。

1子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、下記の適用対象者に該当する場合に、所得金額調整控除額を給与所得から控除します。
適用対象者
  • 本人が特別障害者である
  • 年齢23歳未満の扶養親族がいる
  • 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族がいる
所得金額調整控除額
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額
※ 1円未満の端数があるときは切り上げ

控除額の上限は15万円です。
POINT

 

共働きなら夫婦の両方が適用できる!
夫婦の両方が給与収入が850万円を超え、23歳未満の扶養親族である子どもがいる場合は、夫婦の両方が所得金額調整控除の適用を受けることができます
所得税法上の従来の扶養控除は、扶養親族となる子がいて扶養控除の適用の対象となる方が2人以上の場合、適用できるのはいずれか一方(夫婦のどちらか一人)です。
しかし、今回創設された所得金額調整控除は、従来の扶養控除とは異なり、いずれか一方とは規定されていません。

2給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

給与に加えて年金を受給している方のみが、該当する可能性があります。
適用対象者
その年分の「給与所得控除後の給与等の金額」と「公的年金等に係る雑所得の金額」がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える者
所得金額調整控除額

{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額

控除額の上限は10万円になります。

所得金額調整控除の適用開始

所得金額調整控除については、令和2年分(2020年)の所得税から適用されます。
具体的には令和2年1月1日以後に支払うべき給与等から適用することになります。
そのため令和2年(2020年)以降の年末調整から注意が必要です。

ちなみに、月々の給与や賞与の源泉徴収には影響ありません。

年末調整のときに気を付けること

所得金額調整控除は給与所得者に対するもののため、「所得金額調整控除申告書」を会社(給与等の支払者)へ提出する必要があります。

年末調整でこの控除の適用を受けるためには、その年最後の給与の支払を受ける前日までに、会社へ所得金額調整控除申告書を提出しておきましょう。

ちなみに 様式は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」として使用されていたものが変更され、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」となりました。

基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書の記載例は、国税庁ホームページでも詳しく解説されています。
その他、年末調整の変更点に関する記事はこちらです。
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