国税庁提供の年調ソフトを使ってみた!ポイント解説【年末調整2021】

国税庁が無償提供している、年末調整の電子化に合わせたアプリ「年調ソフト」を使ってみた結果・感じたメリットデメリットを個人的な感想を交えてまとめます。

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年調ソフトとは

国税庁から提供されている、従業員が年末調整申告書を作成するためのソフトウェアが「年調ソフト(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)」です。

従業員が勤務先に提出する各種控除申告書をデータで作成することができ、データでの提出の他、紙に印刷することも可能です。

パソコン版とスマホ版(アンドロイド、iPhone)があり、誰でもダウンロードして使うことができます。

年末調整手続の電子化に向けた取組について|国税庁

年調ソフトの利用方法

さっそく年調ソフトをダウンロード・インストールして使ってみました。

年調ソフトの入手方法は、国税庁のホームページからダウンロードする方法と、Microsoft Store・Google Play・AppStoreなどの公式アプリストアからダウンロードする方法があります。

パソコン版

PC版は、ダウンロード前にWindows設定画面から開発者向けメニューの設定を行い、証明書のインポートウィザードの設定変更等も必要で、その後ようやくインストールとなります。

国税庁HPにある操作マニュアル(インストール手順)を見ながら操作しなければ難しいかもしれません。

[体験談] 最初にパソコン版をインストール後、アプリを起動したら表示が崩れていて操作ができなかったので、アンインストールしました。
アプリをダウンロードする前にも、コントロールパネルを開いて操作が必要なので、マニュアルを見ながら進めなければならず、パソコン操作に不慣れな方には少し難しいかもしれません。

スマホ版

Google PlayやAppStoreからアプリをダウンロードできます。

筆者は、国税庁HPからQRコードを読み取ってインストールしました。

[体験談] スマホ版は特別な操作なく簡単・スムーズにインストールできました!

さっそく年調ソフトを使ってみよう

筆者が年調ソフト(スマホ版)で実際に申告書の作成をしてみた感想を交えながら、年調ソフトの特徴やポイントについてまとめていきます。

手順・操作は簡単?

申告書の作成手順に関しては、画面に表示された通りに該当項目を入力していくだけなので、簡単です。

あれこれ考えなくても、特別な知識がなくても、入力を進めていくことができると思います。

[体験談] 筆者の場合、インストール・初期設定から、各項目の入力(扶養控除申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書)、作成完了までの作業時間は約30分でした!

年調ソフトの特徴・ポイント

まず作成の流れを確認し、申告書を作成していきます

受けられる控除(作成すべき申告書の種類)を判定してくれます

自分がどの申告書を作成すれば良いかわからない場合は、いくつかの質問に答えることで「受けられる控除(作成すべき申告書の種類)」を判定することができます。

控除適用の対象か対象外かを自動判定して知らせてくれます
配偶者控除を受けられるか、所得金額調整控除を受けられるか等を自動判定してくれるので、自分で判断する必要がなく、年末調整に関する知識に乏しい人でも楽に進められます。
不必要な項目の入力を省くことができるのもメリットです。

※表示されている金額は架空の数字です。
保険料控除の申告は電子データでも手入力でも可能
保険会社から保険料控除証明書を電子データで受け取っている場合は「インポート」を選択すると簡単にインポートすることができます。
書面で受け取っている場合は「インポートしない」を選択して手入力することができます。
どちらの場合でも控除額は自動計算されるので、手間が減り計算ミスの心配もありません。
出力形式は、電子データか紙への印刷かを選択可能
作成した申告書は、「電子データで出力する」か「書面印刷」のどちらかの方法で出力し、提出することができます。
データで提出する場合
年末調整申告書をデータで勤務先に提出する場合、XML 形式のデータを ZIPファイルに格納した状態で出力されます。
ZIPファイルは解凍せずにそのまま提出します。
書面で提出する場合
年末調整申告書を書面で勤務先に提出する場合は、印刷プレビューを確認後、紙に印刷したものを提出します。
ちなみに、紙への印刷と併せて、必要に応じて電子データ(XML形式)も出力することができます。これは翌年以降の年調ソフトへのインポート用データとして利用でき、翌年以降の入力作業を簡便化することができます。

年調ソフトに関して気になること

年調ソフトは誰でも使える?絶対これを使わなきゃだめ?

  • 国税庁の年調ソフトは誰でもダウンロードして使うことができますが、勤務先へ電子データで年末調整申告書を提出するためには、勤務先が現在利用している給与システムが年調ソフトで作成したデータの受領に対応していなければなりません。
    また、会社によっては、国税庁提供のものではなく民間企業提供のソフトを利用している場合もあるので、勤務先に確認してから利用した方が良いでしょう。
  • 年末調整の関係書類は、必ず電子データで提出しなければならないわけではなく、これまで通り紙で提出しても問題ありません。ただし会社によっては電子データでの提出が必須な場合もあります(逆に書面での提出が必須の場合もあり得ます)ので、勤務先に確認しましょう。

保険料の控除証明書は電子発行されていないとだめなの?

保険料控除証明書を電子データではなく従来通り書面で受け取っている場合でも、年調ソフトは利用できます。
控除額が自動計算されるので、手書きよりも簡便化でき、計算間違いもなくなります。検算の手間も省けます。

  • 保険会社から、保険料控除証明書を電子データ(電子的控除証明書等)で受け取っていれば、このデータを年調ソフトにインボートにすることで、簡単に申告・送信ができます。
  • 保険料控除証明書を電子データではなく従来通り書面で受け取っている場合、年調ソフトで控除証明書の内容を手入力することになります。

従来の紙の年末調整申告書と様式が違うけど大丈夫なの?

年調ソフトで作成した年末調整申告書を紙で印刷する(PDFで出力する)と、従来の紙の申告書の様式とは異なる形式で表示されます。国税庁が公表している従来の様式と見た目が違っていますが、法律で定められた記載事項が網羅されているので法令上問題ありません。

年調ソフトで作成した年末調整申告書(書面)を勤務先に提出しても法令上の問題はありませんが、勤務先に事前に確認しておくと良いでしょう。

年調ソフトの特徴・メリットデメリット

年調ソフトを実際に使ってみた感想をもとに、メリットとデメリットについてまとめます。

年調ソフトを使うメリット

  • 表示された項目を入力するだけなので手書きよりも早くラクに作業できる
  • 控除額を自動計算してくれるので簡単で間違いもない(検算の手間が省ける)
  • 入力項目毎に解説があり、知識がない人でもわかりやすい
  • 各種控除について、自分が該当するか非該当かを判断し知らせてくれる(悩まずに入力を進めていくことができる)
  • 保険料控除等については、電子データをインポートすることができる(電子データがない場合でも手入力で申告書作成が可能)

年調ソフトを使うデメリット(注意点)

デメリットとというよりも、気を付けるべき点がいくつかあります。

  • 導入するためには事前準備が必要である。(会社側としては、給与ソフト等を含めた環境整備や従業員への周知・マニュアル作成等。従業員側としては、使用するソフト(アプリ)のインストール、証明書の電子発行依頼等の準備が必要。さらにマイナポータルから証明書電子データを取得する場合にはマイナンバーカードの取得やマイナポータルへの登録等も必要となる。)
  • 年調ソフトで申告書作成中、途中で一時保存はできるが、基本的にはすべての項目の入力を終えないと印刷(またはデータ出力)ができない。(名前以外に記入する項目がない場合は、手書きの方が早い場合もある。)
  • 年調ソフトで作成した申告書を紙に印刷して提出する場合、従来の控除申告書の様式と異なる(先述の通り、様式が違っても税法上問題はなし)

 

まとめ

年末調整の電子化に伴い国税庁提供の年調ソフトを使用する場合、導入前の準備や環境整備には時間や手間を要するが、導入すれば申告項目の入力作業が簡単になり、控除額の自動計算ができることで計算ミスや記入漏れを防ぐことができる等の利点がある。

 

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