この記事では基本的な有価証券の会計仕分けを纏めています。
目次
有価証券を購入した時の基本的な仕分け
例えば、株式は株券を売却する事でお金に換える事ができる、財産的価値のある証券の事です。
このように換金価値のある証券を「有価証券」といい、購入した株式の勘定科目は「有価証券」なります。
有価証券を購入した時の基本的仕分けをしてみましょう。
株式の購入時の仕分け例
株式は通常、証券会社を通して購入します。株を購入すると次のような費用が発生します。株式購入は普通預金から支払ったとします。
- 1株1,000円の株式を1,000株購入
- 証券会社に支払う手数料は110円(消費税10%込み)
金額 | 借方科目 | 摘要 | 貸方科目 | 金額 |
100,000 | 有価証券 | A社株 | 普通預金 | 100,110 |
110 | 有価証券 | 購入手数料 |
これは一般的な仕分け例です。
ここでポイントとなるのが、購入時に発生した証券会社に支払う手数料も「有価証券」で仕分ける事です。
有価証券購入時に発生する手数料などの付随費用は、有価証券の取得価格に含めます。
但し、有価証券売却時に発生する付随費用は、「支払手数料」等の費用として計上します。
さて、上記の仕分けは基本的な仕分け方なのですが、実は有価証券は保有目的により、会計基準が異なります。
また、手数料にかかる消費税の処理も必要になります。
有価証券の保有目的による分類
では有価証券による保有目的の違いとはどういう事なのでしょうか。
金融商品に関する会計基準において、有価証券は「株式や社債・国際、投資信託等」が挙げられています。(金融商品取引法第2条第1~2項)
企業は、剰余資金を運用したり、他社の株式を保有する事(株式持ち合い)や会社同士の取引関係を維持するなど、保有目的は事なりますが、多くの会社で何らかの有価証券を保有していると思います。
この異なる保有目的を4つに分類し、運用成果を評価します。
保有目的による4つの分類
分類 | 目的 | 科目 | 資産区分 |
① 売却目的有価証券 | デイトレーディング等、(目安として)1年以内に個別に売却 | 有価証券 | 流動資産 |
② 満期保有目的債券 | 債権の満期まで保有 | 投資有価証券 | 固定資産 |
③ 子会社株式及び関連会社株式 | 支配目的 | 関連会社株式 | 固定資産 |
④ その他有価証券 | 上記以外の目的で保有する | 投資有価証券 | 固定資産 |
一般的な仕分け例では、購入株式の科目を「有価証券」としましたが、保有目的により科目と資産区分が異なります。
これは、期末時の会計処理にも関係してきますので、会計仕分け時には保有目的を把握しておく必要があります。
手数料の消費税区分
株式購入時に発生した手数料には消費税が含まれています。
購入時に発生する手数料は、付随費用として有価証券の取得価格に含めましたが、消費税区分も設定する必要があります。
先に挙げた保有目的に関わらず 手数料の消費税区分は「非課税売上に対応する課税仕入」になります。
適切に仕分けないと、消費税納付額に誤りが発生する場合もあります。
消費税区分を設定した株式の購入時の仕分け例
保有目的を明確にした仕分け例です。
- 長期保有目的の株式を、1株1,000円の株式を1,000株購入
- 証券会社に支払う手数料は110円(消費税10%込み)
この場合、保有目的の分類としては①~③に当てはまらないので、④の その他有価証券 が該当します。
金額 | 借方科目 | 摘要 | 貸方科目 | 金額 |
100,000 | 投資有価証券 (非課税) | A社株 | 普通預金 | 100,110 |
110 | 投資有価証券 (非課税対応仕入) | 購入手数料 |
・何故、このような仕分けになるのか?
・消費税はどう影響するの?
・保有目的による分類の期末会計処理は?
等々、資産の保有方法や消費税など関係する事はまだまだあるのですが、まずは単純に「株を購入した時の会計仕分」として纏めました。