インフルエンザの予防接種代を会社が負担する場合のインボイス

インフルエンザの予防接種代を会社が負担する場合のインボイス・仕入税額控除はどうなるの?という疑問について解説します。

インボイス制度の基本と立替精算について

2023年10月からはじまったインボイス制度の基本と、従業員が立替えて支払ったときの立替精算に関する概要については、別の記事にまとめています。

今回のこの記事では、全従業員を対象としたインフルエンザ予防接種代を会社が負担する場合のインボイスについてまとめます。

インフルエンザ予防接種代を会社が負担する場合のインボイス

まず大前提として、インフルエンザの予防接種代を会社の経費にするためには、全従業員を対象として実施されるものでなければなりません。詳しくは下記の記事をご確認ください。

尚、インフルエンザの予防接種代には消費税がかかります。

予防接種代の全額を会社が負担するケースや、半額などの一定額を会社が負担するケースなどがあると思いますが、基本的な考え方は同じです。

請求書(領収書)の宛先は会社?個人?

↑この記事で解説している通り、予防接種代の請求書や領収証の宛名が、会社名であるか従業員の名前であるかによって対応が変わってきます。

請求先が従業員個人である場合

「従業員がそれぞれインフルエンザの予防接種をして接種料を支払い、その領収証等をもってあとから会社で精算する」ようなケースだと、領収証の宛名が従業員個人の名前となっていることでしょう。

その場合の領収証がインボイス(適格請求書)であったとしても、それは従業員個人に発行されたものであり、会社宛てのインボイスではありませんので、これだけでは仕入税額控除はできません。

仕入税額控除をするためには、立替金精算書の作成と保存が必要です。

請求先が会社である場合

「会社が従業員のインフルエンザ予防接種を手配するなどして、病院から会社宛てに予防接種代が請求される」ようなケースなどは、医療機関からの請求先が会社であり、会社から医療機関へ支払いがされることでしょう。

この場合の請求書や領収証がインボイス(適格請求書)であれば、仕入税額控除が可能です。

予防接種をした病院が免税事業者だった(適格請求書が発行されない)場合

予防接種を受けた病院が免税事業者であったりと適格請求書が発行されない場合もあるでしょう。

インボイス制度の実施後は、免税事業者や消費者など適格請求書発行事業者以外との取引に関しては仕入税額控除をすることができないのが原則ですが、制度開始から6年間は経過措置が設けられています。

経過措置

2023年10月~2026年9月末まで(3年間):免税事業者からの仕入につき80%控除可能
2026年10月~2029年9月末まで(3年間):免税事業者からの仕入につき50%控除可能

よって、経過措置期間内であれば、インボイスが発行されない病院での予防接種代であっても80%または50%を仕入税額控除の対象とできます。

インボイス制度の経過措置に関しては下記の記事で詳しく解説しています。

尚、インボイスの少額特例が受けられる事業者であれば、税込1万円未満の取引はインボイスの保存がなくても一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入れ税額控除ができます。

インボイス制度の少額特例については下記の記事で解説しています。

 

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