インボイス制度の負担軽減措置を簡単解説|令和5年度税制改正大綱

令和4年12月23日に閣議決定された令和5年度税制改正大綱で、インボイス制度に関する負担軽減措置が講じられることになりました。

この記事では、インボイス制度の軽減措置についてまとめます。

インボイス制度は2023年(令和5年)10月開始の制度で、インボイスとは消費税率や税額を証明する公式な請求書(適格請求書)のことです。

インボイス制度の概要についてはこちらの記事をご覧ください。

令和5年度税制改正による負担軽減措置

令和5年度税制改正大綱によるインボイス関連の改正は、大きく3つのポイントがあります。

1 税負担の軽減

免税事業者がインボイス発行事業者となった場合、納税額が売上税額の2割に軽減されます(3年間)

これまで消費税を納めていなかった免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者となった場合、税負担を軽減するため、売り上げ税額の2割を納税額とすることができます。(いわゆる2割特例

経費等の集計不要で 売上・収入を把握するだけで申告できるので、税負担だけではなく事務負担も軽減されます。

対象者

免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者(基準期間(2年前)の課税売上が1000万円以下等の要件を満たす場合)

※インボイス制度開始前から課税事業者を選択している小規模事業者は対象外

対象期間

令和5年10月1日~令和8年9月30日を含む課税期間(3年間)

※個人事業者は、令和5年10~12月の申告から令和8年分の申告までが対象

 

2 事務負担の軽減

1万円未満の課税仕入れ(経費等)は、帳簿の保存のみで仕入税額控除ができるようになります。(インボイスの保存がなくても帳簿保存があればOK)(6年間)

前々年の売上高が1億円以下か、前年の上半期の売上高が5千万円以下の事業者においては、税込1万円未満の仕入についてはインボイスの保存が不要で、帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能となります。

これをインボイスの「少額特例」といいます。

対象者
少額特例の適用対象者となるのは、課税方式が「本則課税」で、かつ以下のどちらかに該当する事業者です。
  • 基準期間(2年前)の課税売上が1億円以下の事業者
  • 特定期間における課税売上が5000万円以下の事業者
    特定期間とは:個人事業者は前年1~6月まで、法人は前事業年度の開始の日以後の6か月
対象期間

令和5年10月1日~令和11年9月30日(6年間)


少額の値引きや返品などの返還インボイスは、1万円未満なら不要となります。

1万円未満の値引きや返品等を行った際、返還インボイスを交付する必要がなくなりました。

たとえば、振込手数料分を値引きとして処理する場合等も対応不要です。

値引き、返品、割り戻しによるインボイスを「返還インボイス」といいます。

対象者

すべての事業者

対象期間

適用期限はありません。

3 登録申請期限の延長

令和5年4月以降の申請でも、インボイス制度開始時に登録が可能となります。

インボイス制度開始時(2023年10月)からインボイス発行事業者となるには、原則2023年3月末までの登録が必要でしたが、2023年4月以降でも登録申請が可能となりました。

2023年10月以降に登録申請をする場合、提出期限は「登録希望日の15日前まで」に緩和されます。(※現行では、1か月前までの登録申請が必要です。)

 

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