法人税の中間申告とは?基礎知識と会計科目・仕訳を詳しく解説!

法人税の中間申告とは?基礎知識と会計科目・仕訳を詳しく解説!

法人税は中間申告・中間納付が必要です。
この記事では、なんのために中間申告をするのか、申告を忘れたらどうなるのか等の基礎知識から、会計上の処理の仕方などの実務についてまとめます。

法人税の中間申告とは?

法人税は、事業年度開始から6ヵ月経過した時点を「中間」として、中間までの法人税を申告し、決算より先に納めることになっています。
これが法人税の中間申告(中間納税・中間納付)です。
簡単に言うと「法人税の前払い」のようなイメージです。
「予定納税」「予定申告」とも言います。

中間の納付期限は、中間日から2か月以内です。

尚、確定申告で納税額が決定した際、中間納税で払い過ぎていた場合は還付されます。

中間申告の対象は?

前事業年度の確定法人税額が20万円を超えた場合、法人税の中間申告の対象となります。

中間申告が不要(対象外)な法人とは?

以下に該当する法人は、中間申告が不要です。

  • 前事業年度の法人税額が20万円以下の法人
  • 設立初年度の法人
  • NPO法人

なぜ中間申告をするのか?

中間納付は、法人税を納める企業者・国の双方にとってメリットがあるとされています。
その理由として以下の2つのポイントがあります。

  1. 企業の納税負担の平準化
    確定申告の際に一度に大きな金額を支払うよりも、中間で一度支払っておいた方が資金繰りの目途がつき、負担軽減となります。
  2. 国の財政収入の平準化・安定化
    国にとっては財政収入が均等化されるというメリットがあります。

法人税の中間申告の方法

法人税の中間申告の方法は2種類あります。
どの方法で申告するかは、納税者が決めることができます。毎年変わっても構いません。

1予定申告

予定申告は、前年度の実績を元に納付税額を算出し、前事業年度の法人税の2分の1の額となります。

計算式:前事業年度の法人税額÷12(全事業年度の月数)×6=中間(予定)税額

2仮決算

仮決算は、中間までの期間を一課税期間とみなして仮の決算を行い、申告・納付します。

予定申告は納税額の算出が簡単にできますが、仮決算は確定申告のときと同じような決算処理が必要となるので、手間がかかります。

ではどんなときに仮決算を選択した方が良いのかというと、前期に比べて経営が悪化した等の理由で前期の法人税の半額を納めることができないときです。
この場合は仮決算をした方が納税額を抑えられます。

尚、予定申告で算出された納付額が10万円以下の場合や、予定申告での納付額よりも仮決算での納付額の方が高くなる場合は、仮決算で申告することができません。

当然ですが、中間申告でどちらを選んでも、結局のところ年税額は同じになります。

中間申告をしなければどうなる?みなし申告とは?

中間申告期限までに中間申告書を提出しなかった場合でも、予定申告が行われたとみなされます
これを「みなし申告」と言います。法人税法第73条で定められている特例です。

中間申告書の提出は実は必須ではないと言えますね。

みなし申告は、予定申告(上記①)での申告がされたとみなされるので、自動的に前期の実績から納付額が算出されます。

そして注意すべきなのが、中間申告書の提出をしていない場合でも、中間納付は必要だということ。

中間申告書を提出しなかった場合は、税務署から送られてきた予定納税額で中間申告したとみなされるので、その金額を期限までに支払わなければなりません。

中間納付をしなければどうなる?

中間申告分の法人税の納付期限は、申告期限と同じ「当事業年度開始の日から6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内」です。
中間納付を忘れて納付期限を過ぎると延滞税が発生します。

中間申告の会計処理 勘定科目・仕訳

中間納付は、まだ確定していない税金を前もって仮払いする感じなので、会計処理上も「仮払金」とするのが一般的です。
「仮払法人税等」の科目を使用している企業が多いと思います。

決算で法人税額が確定したら、仮払金と年税額の差額が「未払法人税等」となります。(※「未収法人税等」(還付)となる場合もあります)

実際に法人税を支払ったとき、または還付されたときは、未払法人税等・未収法人税等を取り崩す仕訳をします。

それぞれのタイミングでの仕訳を確認していきましょう。

中間納付をしたときの仕訳

例)普通預金口座から、50万円の中間納税をした

借方 貸方
仮払法人税等 500,000 普通預金 500,000

中間納税分は確定申告で精算されるため、仮払金(ここでは「仮払法人税等」の科目を使用)として処理します。

決算で法人税額が確定したときの仕訳

確定した年税額が、中間納税額よりも多いとき

例)決算で法人税額が100万円と確定した

借方 貸方
法人税等 1,000,000 仮払法人税等 500,000
未払法人税等 500,000

中間納税分である「仮払法人税等」を取り崩し(充当し)て、これから納付すべき金額を「未払法人税等」として計上します。

確定した年税額が、中間納税額よりも少ない(還付になる)とき

例)決算で法人税額が40万円と確定した

借方 貸方
法人税等 400,000 仮払法人税等 500,000
未収法人税等 100,000

仮払法人税よりも、確定した年税額が少ない場合は、差額分が還付となります。
還付される金額を「未収法人税等」で計上します。

確定した法人税を支払った(または還付された)ときの仕訳

未払法人税等や未収法人税等を取り崩す仕訳をします。

確定法人税を納付したとき

例)普通預金から納税したとする

借方 貸方
未払法人税等 500,000 普通預金 500,000
法人税の還付を受ける場合

例)還付金額が普通預金に入金されたとする

借方 貸方
普通預金 100,000 未収法人税等 100,000
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