体調が悪い時やケガをしたときに病院に行くと必ず提示を求められる保険証。
この保険証、正式名称は健康保険被保険者証といって、健康保険に加入している証明書です。
この記事では、主に企業勤めの会社員が加入している「健康保険」に関することをまとめています。
協会けんぽと組合健保の違い・扶養になれる条件など、健康保険の基礎知識をひとつずつ確認していきましょう。
健康保険とは
・会社員など、民間企業等に勤める人とその家族が加入する医療保険制度
・健康保険料は、被保険者と事業主が保険料を折半で負担(※任意継続被保険者の保険料は、全額本人負担)
保険証は、公的医療保険に加入している証明書なのです。
日本国民は皆、公的医療保険制度に加入します
公的医療保険の運営者は、政府、企業、市町村等ありますが、どの保険に加入していても同じ診療には同じ保険が適用されます。
公的医療保険の種類
- 健康保険(全国健康保険協会(協会けんぽ)、各種健康保険組合)
企業の従業者(会社員)や日雇労働者などが加入 - 共済組合(各種共済組合)
国家公務員・地方公務員や私学教職員などが加入 - 船員保険(全国健康保険協会)
船舶の船員など - 国民健康保険(市町村、各種国民健康保険組合)
自営業者や農業従事者、無職、フリーターなど(健康保険やその他の公的医療保険に加入していない人が加入) - 後期高齢者医療制度
75歳以上の人および65歳~74歳で一定の障害の状態にある人が加入
保険者とは
- 全国健康保険協会
「協会けんぽ」と呼ばれています。主に中小企業で働く方(会社独自の健康保険組合がない企業に勤務している人)が加入します。船員が対象の「船員保険」も運営しています。 - 健康保険組合
主に大企業などが独自・もしくは複数社が共同で設立している健康保険組合です。単独の場合は常時700人以上の社員がいること、共同設立の場合は合算して常時3000人以上の社員がいることが、健康保険組合設立の条件となります。「組合けんぽ」と呼ばれます。
協会けんぽの保険証は、水色のカードです。
健康保険組合の保険証は、各組合によって プラスチック製のカードタイプだったり、紙タイプだったりと異なります。
一般的には、協会けんぽよりも組合健保の方が給付制度が充実していると言われます。
組合健保の場合、法定給付(法律で決められている給付額)に上乗せして、より手厚い給付(付加給付)を受けられる場合が多いです。
例えば、高額な医療費を支払ったとき(高額療養費制度)でも、所得区分に関わらず自己負担の上限が1万円や2万円だけですむような付加給付制度がある組合もあります。保険料についても、組合健保ごとに決めることができるので、協会けんぽよりも保険料が低くおさえられている場合も少なくありません。
※その組合健保ごとに付加給付の内容は異なります(付加給付がない場合もあります)ので、組合健保に加入している人は自分の組合健保の付加給付について調べておくと良いと思います。
被保険者とは
健康保険に加入している本人のことを「被保険者」と言います。
病気やけがなどをしたときなどに必要な給付を受けることができます。
被扶養者とは
被保険者の収入によって生活している家族が被扶養者となることができ、被扶養者にも保険給付が行われます。
ただし家族なら誰でも無条件で扶養に入れるわけではありません。
被扶養者として認定されるには、法律で定められた条件を満たしていなければならず、必ず審査があります。
基準も全く異なりますので、混同しないように注意が必要です。
被扶養者の条件
被扶養者になる日より前の収入は関係ありません。(←ここ、大事なポイントです!)
詳しくは後述する「被扶養者の範囲」へ記します。
後期高齢者医療制度の方は、被扶養者になれません。
被扶養者の範囲
被扶養者の範囲は法律で決められていて、被保険者(本人)と同居であることが条件の人と、同居でなくてもよい人がいます。
2.子(養子を含む)・孫・兄弟姉妹
3.父母(養父母を含む)等の直系尊属
2.内縁の配偶者の父母、連れ子
3.内縁の配偶者死亡後のその父母、連れ子
別居している場合は、対象者の年間収入が130万円(60歳以上または障害年金受給者は180万円)未満で、かつ、その額が、被保険者からの仕送り額より少ないことが条件となります。被保険者の仕送りによって暮らしが成り立っていることの証明が必要となります。(振込依頼書、通帳など、仕送りの証明となるものの提出が必要)
※扶養の条件にあてはまらなくなったときは、扶養から外れることになります。
自動的に扶養から外れるわけではなく、被保険者本人が申し出なければなりませんので注意が必要です。
健康保険の扶養から外れるのはどんなときか、いつまで保険証が使えるのか等は別記事に詳しくまとめていますので、そちらの記事をご参照ください。