【介護休業制度の基礎知識】介護休業と介護休暇の違いは4つ!

家族の介護のために仕事を休まざるを得ないとき、仕事と介護の両立を支援してくれる制度が介護休業制度です。

この記事では、介護休業制度の概要や取得要件などをわかりやすく解説していきます。

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介護休業制度とは

介護休業制度は、仕事と家族の介護の両立支援制度です。

介護のために一定の期間仕事を休んだり、短時間勤務をしたり、残業の免除や時間外勤務・深夜業を制限することができます。

介護休業等を利用したことを理由とした解雇、降格などの不利益な取扱いや、嫌がらせなどのハラスメント行為は禁止されていて、ハラスメント防止対策を行うことは事業主の義務となっています。

ここでは、仕事と介護の両立を支援する制度である「介護休業」「介護休暇」について、詳しく解説していきます。名称が似ているので混同しないようご注意ください。

介護休業

介護休業は、要介護状態(*)にある対象家族を介護するための休業です。

(*)ここでの要介護状態とは、負傷、疾病または身体上や精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態です。

対象となる労働者

介護休業を取得することができるのは、対象家族を介護する労働者です。(日々雇用を除く)

パートやアルバイトを含め、期間を定めて雇用されている場合(有期契約労働者)は、申出時点で「取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない」という要件を満たしていれば、介護休業を取得できます。

介護休業の対象外となる労働者は?

労使協定が締結されている場合は、下記に該当する労働者は対象外となります。

  • 入社1年未満の労働者
  • 申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

対象家族

介護休業の対象となる家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。


画像出典:介護休業について|介護休業制度|厚生労働省

介護休業の取得期間と回数

要介護状態の対象家族1人につき3回まで通算93日まで休業できます。(分割して取得することも可能)

介護休業をとりたいときはどうすればいい?

介護休業をとりたいときは、休業開始予定日の2週間前までに、書面等で事業主に申し出る必要があります。

尚、就業規則によって申出期限を2週間より短い期間にするなど、労働者にとって有利な条件を設定することは問題なく、厚労省も認めています。

申出の際に社内様式がある場合等は、社内規定に従います。

介護休暇

介護休暇は、要介護状態(*)にある対象家族を介護するための休暇です。

(*)ここでの要介護状態の定義は、介護休業と同じく、負傷、疾病または身体上や精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態のことです。

通院の付き添い、介護サービスに必要な手続きを行うためなどに介護休暇を取得することができます。

労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できます。
有給か無給かは会社の規定により異なるので、勤務先へ確認しましょう。

対象となる労働者

介護休暇は、対象家族を介護する労働者が取得できます。(日々雇用を除く)

介護休暇の対象外となる労働者は?

労使協定が締結されている場合は、下記に該当する労働者は対象外となります。

  • 入社6か月未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

対象家族

介護休暇の対象となる家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。(※介護休業の対象と同じです。)


画像出典:介護休業について|介護休業制度|厚生労働省

介護休暇を取得できる日数と取得単位

  • 対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日まで介護休暇を取得することができます。
  • 介護休暇は、1日または時間単位で取得することができます。

介護休暇をとりたいときはどうすればいい?

介護休業と違い、介護休暇の申出方法については書面での提出に限定されていないので、口頭での申出も可能です。

ただし、社内で規定されている書面等がある場合は、社内様式を利用し規定に従って申出をします。

介護休業と介護休暇の違い~4つのポイント

介護休業と介護休暇は似た名称なので混同しやすいですが、その違いは大きく4つあります。

1 介護のために仕事を休む期間が異なります

介護休業と介護休暇では、介護のために仕事を休む期間が異なります。
介護休業は長期の休みを計画的に取ることができ、介護休暇は臨機応変に休みを取ることができるイメージです。

介護休業 ある程度まとまった期間を、前もって勤務先に申し出た上で計画的に休む。
介護休暇 1日~数日単位で休む。突発的に取得できる。

2 介護のために休むことができる日数が異なります

介護休業と介護休暇は、取得可能な日数が異なります。
介護休業の方は、ある程度まとまった期間の休みをとることができ、介護休暇は1日単位や時間単位で休みをとることができます。

取得可能日数(対象家族が1人の場合)
介護休業 最大で通算93日取得(3回まで分割可)
介護休暇 1日単位または時間単位の休みが年に10日まで取得可能

3 休みをとりたいときの申請方法が異なります

介護休業と介護休暇は、休みをとりたいときの申請方法が異なります。

介護休業は前もって(休業の2週間前まで)書面による申請が必要ですが、介護休暇をとりたいときは口頭での申出でも良く、突発的に休むことも可能です。

申請方法
介護休業 休業する2週間前までに事業主に申出、書面等の提出が必要。(事前申請が必要)
介護休暇 口頭または書面で申し出る。(突発的に取得できる)

4 介護休業をとる場合には「介護休業給付金」がもらえます

介護休業と介護休暇とで大きく異なる点として、介護休業をとる場合には「介護休業給付金」がもらえるということがあります。

介護休業の場合は要件を満たしていれば「介護休業給付金」を受け取ることができますが、介護休暇の場合は給付金等は受け取れません。

給付金
介護休業 雇用保険の被保険者で一定の要件を満たしていれば、賃金の67%が介護休業給付金として支給される。
介護休暇 公的な給付金はなし。(介護休暇を取得した日が有給か無給かは、勤務先の就業規則によって異なる。)

※ 介護休業給付金の概要や受給要件などについての詳細は、別の記事で解説しています。

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